過去最高の選挙献金 大富豪たちが密室で決める 選挙のゆくえ

2012/8/29(Wed)
Video No.: 
4
14分

8月28日フロリダ州タンパで開かれた共和党の全国大会には数千人のジャーナリストたちが取材つめかけました。しかし会場から離れた市内の一角では、11月の総選挙の行方に決定的な影響をおよぼす秘密会議がひっそりと開かれていました。巨額の資金を投じて共和党候補を応援する大富豪やその代理人です。ハフィントン・ポスト紙によれば、28日に行われた会議には、ブッシュ政権で「大統領の頭脳」と言われたカール・ローブの選挙資金管理団体アメリカン・クロスロード(American Crossroads)や億万長者チャールズ・コークとデイビッド・コークの代理人、米国商工会議所の代表などが集まり、オバマ再選阻止のための共同作戦を練ったようです。

2010年のシチズンズ・ユナイテッド裁判の最高裁判決以来、米国では事実上、企業による選挙資金の提供が無制限に行えるようになりました。候補者や政党への直接献金はできませんが、外角の政治資金管理団体(PAC:Political Action Committee)への寄付はいまや無制限に行えるようになりました。そこで巨額の献金を集めた資金管理団体の影響力が大きくなり、「スーパーPAC」とよばれるようになりました。スーパーPACはテレビ広告やイベントなどを活用して選挙運動を行いますが、特に目立つのは支援する候補を支持する広告ではなく対立候補の足をひっぱるためのネガティブキャンペーンです。今年の選挙はスーパーPACが活躍する初めての総選挙で、無制限につぎ込まれる選挙資金がどれほどの影響を及ぼすかが見ものです。
番組では、このスーパーPACの制度をつかって大きな影響力をふるう、影の選挙の元締めについて詳述しています。(中野真紀子)

*ピーター・ストーン(Peter Stone):政治資金の問題を20年にわたり追求している調査報道記者

Credits: 

字幕翻訳:桜井まり子/全体監修:中野真紀子