ビンラディンを ジェロニモと呼び、いまも先住民の撲滅にいそしむ米国政府
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2011年5月にオサマ・ビンラディンを急襲作戦で殺害したことは、米軍のテロ戦争に一区切りをつける画期的な事件でした。これを題材にした映画ゼロ・ダーク・サーティー」も公開前から論争を巻き起こしており、いまだこの作戦に対する米国での関心は冷めていないようです。
この作戦が引き起こした摩擦の一つが、アメリカ先住民社会からの激しい反発です。この殺害作戦に「ジェロニモ」というコードネームがついていたことが判明し、伝説的なアパッチ族の指導者ジェロニモの名を、テロリストを追い詰めて殺す作戦に使うとはなにごとかと先住民社会が激怒したのです。米軍がこうしたネーミングをしたことには民族迫害の長い歴史とつながりがあります。ジェロニモは19世紀に米墨両軍から民族固有の土地を守って戦いました。かつてジェロニモを仇敵として追討した米国の軍隊が、今は「テロリストの親玉」とされる人物を地の果てまで追いかける。なんだか似ていますね。
思えば米軍には先住民にちなんだ軍隊用語があふれています。ブラックホーク、アパッチ・ヘリ、トマホーク・ミサイル。外国にある米軍基地を“リザベーション”と呼び、基地を離れるときには「保護地区を出てインディアンの土地に入る」と言うそうです。どうやら米軍にとっては、いまだに西部劇の延長という気分が続いているようです。自分たちには外国の主権を軽視して、世界のどこでもいつでも軍事作戦を遂行する自由があると思い込んでいるらしい米国のふるまいは、インディアンの土地を奪って建国した過去に起点があるのかも。(中野真紀子)
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*ウィノナ・ラデューク(Winona LaDuke)先住民活動家、作家。ミネソタ州北部のホワイトアース・ネイション在住で、団体オナー・ジ・アース(大地を敬え)の代表。新著はThe Militarization of Indian Country (『インディアンの土地の軍事化』)
字幕翻訳:田中泉/校正:斉木裕明/全体監修:中野真紀子/サイト作成:丸山紀一朗