番組のホストは、数々の賞に輝くジャーナリスト、エイミー・グッドマンとフアン・ゴンザレス
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第48号(2012.01.30)
アサンジ-ジジェク対談: パート2(2011.07.02収録)
アサンジ-ジジェク対談: パート1(2011.07.02収録)
第46号(2011.11.28)
デリック・ジェンセン: エコロジー運動の哲学詩人(2010.11.26放送)
第45号(2011.10.31)
デジタルの闇(2011.02.01放送)
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第44号(2011.9.27)
ゲイ人権運動の先駆者クリーブ・ジョーンズ(2009.06.19放送)
マンフレッド・マックスニーフ:裸足の経済学(2010.11.26放送)
第42号(2011.7.25)
ヴァンダナ・シヴァとモード・バーロウ:アースデーに母なる大地の権利を語る(2011.4.22放送)
第41号(2011.6.20)
ナオミ・クライン:火事場の底力(2011.3.9放送)
第40号(2011.5.21)
アラブのときがきた(2011.2.17放送)
第39号(2011.4.28)
スティグリッツ:銀行より国民を(2010.10.20放送)
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第38号(2011.3.21)
カナダの農民 巨大企業に挑む
(2010.9.17放送)
第37号(2011.2.16)
ジュリアン・アサンジが語る『ウィキリークス』
(2010.12.31放送)
第36号(2011.1.12)
チャルマーズ・ジョンソン:壊れ行く米国
(2007.2.27放送)
第35号(2010.12.11)
民主主義を侵すキリスト教右派
(2007.2.19放送)
第34号(2010.11.10)
ウィキリークスとハッカー文化
(2010.7.27放送)
第33号(2010.10.10)
フリーダムライダーズ
(2010.2.1放送)
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第32号(2010.9.10)
貧困の終焉?
(2009.11.10放送)
第31号(2010.8.10)
パレスチナの桂冠詩人 マフムード・ダルウィーシュ
(2008.8.11放送)
第30号(2010.7.10)
沖縄・グアム・ハワイ:太平洋米軍基地の拡大に反対する国際的連帯
(2010.5.24放送)
第29号(2010.6.10)
追悼 ハワード・ジン 無数の人々に愛された気骨の活動家・歴史家:「無名の人々の無数の小さな行動が歴史を動かす」
(2010.1.28放送)
第28号(2010.5.10)
ホワイトパワーUSA:勃興する右翼民兵組織 ──黒人大統領誕生の背後で
(2010.1.11放送)
第27号(2010.4.10)
ハイチ 栄光と苦難の200年 ──ランダル・ロビンソンが語る黒人奴隷革命からアリスティド拉致まで
(07.07.23放送)
***
第26号(2010.3.10)
GMの金のなる木 ──米汚染企業の環境対策で森を追われるブラジルの農民
(09.11.05放送)
第25号(2010.2.10)
ハミッド・ダバシ: いま、イランで起きていること
(09.06.24放送)
第24号(2010.1.10)
モード・バーロウ: 水が危ない!
(08.02.27放送)
第23号(2009.12.10)
「映画監督デビューから20年、新作『キャピタリズム~マネーは踊る』で一挙に核心に迫るマイケル・ムーア」
(09.09.24放送)
第22号(2009.11.29)
「白い肌のテロリスト」 反アパルトヘイトの詩人ブレイテンバッハ: Part 2
(08.12.26放送)
第21号(2009.11.10)
「白い肌のテロリスト」 反アパルトヘイトの詩人ブレイテンバッハ: Part 1
(08.12.26放送)
第20号(2009.10.10)
デヴィッド・ハーヴェイ:不死鳥・資本主義を絶やすには(09.4.2放送)
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第19号(2009.9.25)
パシフィカ・ラジオ、栄光と苦闘の60年 2 闘う公共放送、市民を裏切らないメディアをめざして(09.4.15放送)
第18号(2009.9.10)
パシフィカ・ラジオ、栄光と苦闘の60年 1 ありえない公共放送が誕生(09.4.15放送)
第17号(2009.8.10)
戦時下の性的暴力と闘うモニカ・ハウザー
(08.12.8放送)
第16号(2009.7.10)
良心を売り渡さない企業を求めた活動家 ザ・ボディショップの創設者アニータ・ロディック
(07.10.22放送)
第15号(2009.6.10)
ソマリア内戦につけこむ 各国黙認のもうひとつの海賊
(09.4.14放送)
第14号(2009.5.10)
アヴィ・シュライム教授がすっきり解説 いまからでもわかる「パレスチナ紛争」(09.1.14放送)
第13 号(2009.4.10)
誰のための人道か? 「命名の政治学」マフムード・マムダニが語るダルフール問題(07.6.4放送)
***
第12号 (2009.3.25)
エイモリー・ロビンス: 幻だった原発ルネッサンス(08.7.16放送)
第11号 (2009.3.10)
ローレンス・レッシグ: ネットの中立性を守れ!(08.4.17放送)
第10号 (2009.2.28)
スラヴォイ・ジジェクとの対話: Part 2 自滅する資本主義─正しい「問い」はどこに?(08.5.12放送)
第9号 (2009.2.10)
スラヴォイ・ジジェクとの対話: Part 1 「人間の顔をした社会主義」から「人間の顔をしたグローバルな資本主義」へ (08.3.11放送)
第8号 (2009.1.10) 特別配信 動画ページからダウンロード可
ガザのゲルニカ イスラエルによる空爆で300人以上が死亡 (08.12.29放送)
第7号 (2009.1.10)
現代アメリカの危険な"食"事情: マイケル・ポーランの「食を守れ──食べる人宣言」(08.2.13放送)
第6号 (2008.12.10)
「あれから40年」タリク・アリが語る 社会正義を求めて世界が燃えた日々(08.5.29放送)
第5号 (2008.11.25)
ナオミ・クライン「火事場泥棒の資本主義」を検証 2 オバマの経済政策、食糧危機、中国五輪(08.7.15放送)
第4号 (2008.11.10)
ナオミ・クライン「火事場泥棒の資本主義」を検証 1 石油利権の"ショックドクトリン"応用(08.7.15放送)
第3 号(2008.10.25)
チョムスキーとジン、異例の共同インタビュー 2 市民的不服従のすすめ(07.4.17放送)
第2号 (2008.10.10)
チョムスキーとジン、異例の共同インタビュー 1 ベトナムからイラクへ(07.4.16放送)
第1号 (2008.9.10)動画ページからダウンロード可
チリのベストセラー作家イサベル・アジェンデ 自らの半生、家族、ミシェル・バシュレ大統領、拷問、移民体験を語る(08.4.7放送)
第48号(2012.1.30)
アサンジ-ジジェク対談: パート2 (2011.07.02収録)
翻訳:中野真紀子 字幕動画
ジュリアン・アサンジとスラヴォイ・ジジェクとの2時間にわたるトークのパート2です。ウィキリークスの理念、「アラブの春」に果たした役割などがテーマですが、アサンジが強調するのは、「言う権利」と「知る権利」がひとつになった、「コミュニケーションの権利」です。ジジェクはこれを「公的な理性の使用」と置き換えてみせますが、何でも言えたとしてもそれが、「既存の権力構造やイデオロギーによってあらかじめ決められた目標に奉仕」してしまうなら、何の危険も無く、検閲の必要すらありません。建前上は、誰でも何でも言えるけれど、語られる「真実」が何の力ももてないほどイデオロギー操作されてしまった欧米「自由」社会。そんな中で情報の隠蔽や操作を否定のしようがないほど明かにし、施政者にとって危険な存在になることにより、ウィキリークスは変革の可能性を開いたのです。アサンジは、主要メディアは「反体制の声を検閲することにより、少数派とされる意見こそが実は多数派なのだと国民に気づかせないようにする」役割を担っていると主張します。ウィキリークスの情報公開は人々がその操作に気付くきっかけを作りました。人々は広場に集まり、自分たちの空間をもち、情報をやりとりし、自分たちが実は多数だったこと、そして何よりも変革の可能性の存在に気付いたのです。「アラブの春」や「ウォール街を占拠せよ」はこうした体験から力を得ています。ウィキリークスは、人々の目をさまさせ、世界を変える力をもったのです。(大竹秀子)
*ジュリアン・アサンジ (Julian Assange) ウィキリークスの編集責任者
*スラヴォイ・ジジェク (Slavoj Žižek,) スロヴェニア出身の哲学者、精神分析学者、文化理論家
第47号(2011.12.31)
アサンジ-ジジェク対談: パート1 (2011.07.02収録)
翻訳:大竹秀子 字幕動画(番組用に編集されています)
2011年7月2日に、ロンドンで行われたジュリアン・アサンジとスラヴォイ・ジジェクとの2時間にわたる対談を2号に分けてお届けします。2010年には4月のイラクでの米軍ヘリコプターによる民間人殺傷動画の公開を皮切りにアフガニスタンとイラクの戦争記録公開、米外交公電公開開始と華々しい活躍が続いたウィキリークスですが、2011年は民主化を求めるチュニジアでの蜂起を発火点にした「アラブの春」、それに触発されたニューヨーク始め全米各地での「占拠」運動など、ウィキリークスがまいた種が世界各地の人々を行動に立たせた年になりました。エイミー・グッドマンが司会役を務めたこの対談イベントは、戦争の最前線で殺されたジャーナリストたちを追悼することを目的の一つとして設立されたフロントライン・クラブによって主催され、まずは、ウィキリークスが公開した米軍ヘリコプターによるイラクでのロイター記者狙撃動画の意義から論議が開始されます。文明の進歩にはすべての情報公開が必要であるというウィキリークスのビジョン、そして世界により大きな影響をもたらすための情報公開の戦略を自ら語るアサンジ。対するジジェクは、権力者による情報操作とイデオロギーの欺瞞をまざまざと目に見えるものにし攻撃を仕掛けていくウィキリークスの手腕を絶賛すると共に、ウィキリークスに情報をリークしたとされているブラッドリー・マニング上等兵のようなごく普通の人の倫理的直感に基づく行為が、がんじがらめの世界に窓を開ける「たったひとつの希望」だと述べます。こだわりのアサンジと突っ込みのジジェク。愉快で鋭い対談です。(大竹)
*ジュリアン・アサンジ (Julian Assange) ウィキリークスの編集責任者
*スラヴォイ・ジジェク (Slavoj Žižek,) スロヴェニア出身の哲学者、精神分析学者、文化理論家。
第46号(2011.11.28)
デリック・ジェンセン: エコロジー運動の哲学詩人 (2010.11.28放送)
翻訳:大竹秀子 字幕動画
カリフォルニア北部で持続可能な暮しを続けるトロワ・インディアンの土地に暮らす
デリック・ジェンセンには、地球はすでに滅びつつあるという強い認識がある。環境
破壊に対して「反撃にはまだ早い」、「まだ、そんなに必死にならなくたって」と言
う人々に、ジェンセンは、こう答えるだろう。「海の大型魚の9割が姿を消し、プラ
ンクトンの10倍のプラスチックが海にたまり、すべての母乳にダイオキシンが含まれ
ている。生物の絶滅率が背景絶滅率の1千倍から1万倍になっている。再生不能な資
源を使う暮らしには、必ず終わりが来る。そしてそれはすでに始まっている」と。彼
には納得がいかない。そんな時に地球は滅びつつあるのか、瀕死の重傷なのかを論じ
ることに、何の意味があるのか?いま重要なのは、抵抗の文化を築くことではないの
か。
ジェンセンには「文明」には、暴力と破壊が付きものだと言う思いもある。村や野営
地で自然が恵んでくれるものだけで暮らせる持続可能な規模を超え、生存のために外
部から物を持ち込むことが不可欠になった段階で、人の暮らしは暴力に拠らざるを得
なくなると。だから彼は、毎日の「シャワーの時間を短くしましょう」的なこぎれい
で自己満足で終わる環境運動には我慢ならない。自分の手が汚れなければ、それです
むのか?エコロジカルなライフスタイルにかまけ、政治的な抵抗を忘れた人々を、彼
ははっきりと否定する。彼の抵抗の形には、あらゆる有効な手が含まれ、「暴力」も
選択肢のひとつだ。2011年10月7日、「ワシントンDCを占拠せよ」の集会にスカイ
プでカリフォルニアから参加した彼は、次のように語りかけた。「占拠に賛成です。
企業による気候変動に対する抵抗すべてに賛成です。今起きている占拠運動はより大
きな占拠に対する抵抗です。私たちは盗まれた土地の上で抵抗運動を行っていること
を忘れてはなりません。米国の政府は、制度的にも機能的にも占拠の政府です。資本
主義は占拠の経済です」と。ジェンセンが自らの思想のエッセンスを、かみしめるよ
うに語る貴重なセグメントをお届けします。(大竹秀子)
*デリック・ジェンセン(Derrick Jensen): 著述家、環境活動家。現代社会と環境
破壊を批判する15冊を超える著書がある。日本語訳書にジョージ・ドラファンとの
共著『破壊される世界の森林―奇妙なほど戦争に似ている』(明石書店)
第45号(2011.10.31)
デジタルの闇 (2011.2.1放送)
翻訳:桜井まり子 字幕動画
一国を、一挙にデジタルの闇に陥れる─世界中で解放を求める運動を可能にしてきた
インターネットや携帯電話の技術は、政府の思惑次第で市民の電子通信の息の根をと
めることも可能にしています。また、反体制を唱える声の出所をみつけ、つぶすのに
も大変有効な手段を提供します。使われるのは、欧米の企業が提供するディープパ
ケット・インスペクション(DPI)という技術です。、エジプト革命の際、政府の命
令に従い、エジプトの電話とインターネットのサービスを遮断したのは英国に本社を
もつ多国籍企業ボーダフォン社でしたし、DPI技術を提供していたのは、ボーイング
社傘下の米国企業ナルス社でした。一方、米国でも2010年に非常事態に際し、大統領
にインターネットを遮断する権限を与える条項をもりこんだ「サイバースペースを国
家資産として保護する法」案が幸い通過はしなかったものの議会に提出され、今後、
再提出の可能性もあります。また、連邦通信委員会(FCC)は2010年12月に「ネット
中立性規則」を採択しましたが、この規則はこれからますます大きな市場となってい
くモバイル通信には適用されず、将来に向けモバイルの領域でネットの中立性をなし
くずしにしていく抜け穴を作ってしまいました。フリー・プレスのティム・カーと
ニューヨーク市立大学で教えるC.W.アンダーソンが、市民の自由にとってますます重
要性をもつデジタル通信が置かれた政治状況について話します。
(大竹秀子)
*ティム・カー(Tim Karr)フリープレスの広報主任
*C.W.アンダーソン(C.W. Anderson)NY市立大学コミュニケーション学助教
第44号(2011.9.27)
ゲイ人権運動の先駆者クリーブ・ジョーンズ (2009.6.19放送)
翻訳:川添峡子 字幕動画
2011年9月20日米東部時間の深夜12時1分に、米軍の同性愛公言禁止政策が公式に失効しました。オバマが大統領選で公約していた撤廃が実現し、自分は同性愛だと公言している人も米軍に入隊することができ、またすでに軍隊で働いている人も解雇されることを恐れずに“自分はゲイだ”と言えるようになったのです。オバマ政権はまた、2011年2月にLGBT(性的少数者)を、結婚制度から排除する1996年の結婚防衛法(DOMA)を違憲であり支持しないと発表し、大きな朗報になりました。さらに、6月には、ニューヨーク州で同性婚が合法化され、7月末の執行後に挙式ラッシュが起こるなど、明るい話題が続いています。とはいうものの、連邦政府は「結婚」は異性同士のものであるという姿勢をくずしておらず、LGBTはさまざまな権利を奪われたままです。クリーブ・ジョーンズは、ゲイ人権運動やエイズ啓発運動の草分けの1人。
ジョーンズはエイズ犠牲者たちの名前をキルトに縫い付けて追悼するNAMESプロジェクト(エイズ・メモリアル・キルト)の創始者であり、サンフランシスコ・エイズ基金の設立者の1人です。また、1970年代にゲイの人権拡大に尽力して暗殺された政治家ハービー・ミルクの友人としても知られ、ミルクを題材にした映画『ミルク』(ショーン・ペンがアカデミー主演男優賞を受賞)には、若き日のジョーンズが登場しています。2009年6月に収録されたこのセグメントでは、「全米カミングアウトの日」とされている10月11日に向けてワシントン大行進を計画中だったジョーンズが、ミルクの生と死に大きく触発された自らのゲイ人権運動を語ります。(大竹秀子)
*クリーブ・ジョーンズ(Cleve Jones) サンフランシスコで長年ゲイ権利運動にかかわってきた活動家。1985年、AIDSメモリアル・キルト運動を推進するNAMESプロジェクトを創始した。サンフランシスコ・エイズ基金の設立者の1人。(大竹秀子)
*クリーブ・ジョーンズ(Cleve Jones) サンフランシスコで長年ゲイ権利運動にかかわってきた活動家。1985年、AIDSメモリアル・キルト運動を推進するNAMESプロジェクトを創始した。サンフランシスコ・エイズ基金の設立者の1人。
第43号(2011.8.25)
マンフレッド・マックスニーフ:裸足の経済学 (2011.10.26放送)
翻訳:大竹秀子 / 編集協力:中野真紀子字幕動画
1週間に2着のポンチョしか作れない機械を使っていたあなたに、1週間に20着作れる機械がプレゼントされた。さて、あなたの暮らしはどう変わる?1週間に20着のポンチョを作り始める?それとも?――「裸足の経済学」で知られるチリの経済学者マンフレッド・マックスニーフは、物質的な経済成長に取り憑かれた私たちに、人間的な側面を大事にした「開発」のもうひとつのありようを示唆してくれます。
泥の中に足を踏み入れ、中南米の先住民や貧者と寝食を共にすることを通して学んだマックスニーフの経済学は、よりたくさん生産するかわりに、より多くの時間を自分や家族・友人のために使うという私たちが失ってしまった価値観を思い出させます。そして、地球の生態系を無視し、永久の成長というありえない目標を追い求める、成長神話に駆られた19世紀以来の経済学の愚かさをつきます。人が経済に仕えるのではなく、人に仕える経済学、ものではなく人の開発などなど、地球の生態系と生命を基盤にしたマックスニーフの経済学は、経済的にも環境面でも新自由主義経済がもたらした猛毒に汚染された私たちに、貧者から学べと教えてくれます。(大竹秀子)
*マンフレッド・マックスニーフ(Manfred Max-Neef): チリの経済学者。1960年代にはカリフォルニア大学バークレー校などで経済学を教えた。1981年にOutside Looking In: Experiences in Barefoot Economics(『外側から見た裸足の経済学』)を上梓。1983年に「『裸足の経済学』を通して中小規模の地域社会に新しい命を吹き込んだ」功績でライト・ライブリフッド賞を受賞した。
第42号(2011.7.25)
ヴァンダナ・シヴァとモード・バーロウ:アースデーに母なる大地の権利を語る(2011.4.22放送)
翻訳:田中 泉 / 編集協力:中野真紀子字幕動画
2010年のBPによるメキシコ湾石油流出事故、2011年の福島原発事故と、自然と環境を痛めつけ、生物の生存を危機に陥らせる大事故が続いています。2011年のアースデーを記念したこの特別番組では、ヴァンダナ・シヴァとモード・バーロウという世界的に著名な2人の環境保護運動家が、環境問題のいまを語ります。
2人が何よりも問題とするのは、環境汚染を支えている「他の生物を考えない 人間中心の考え方」です。逆に希望は、ボリビアなどが先頭を走る「母なる大地の権利」を求める動きです。ボリビアでは人間と同じ権利を自然に与える法が成立目前で、国連総会でも、同国の提唱で、「自然との調和」に関する決議がすでに採択されており、「母なる大地の権利」に向けた動きも始まっています。一方で、カーボン取引など、地球温暖化対策とからめて、残された自然を商品化し市場原理にとりこんでしまおうとする危機的な現状はいなめません。ですが、シヴァさんにいわせれば、「自然と人間とは別々の存在だとする見方は、知性のありようとして時代遅れ」。そして、地球全体から見れば、少数派なのです。母なる大地の権利という考え方は、人と自然が繋がっているという感覚を蘇らせ、生命の特許化に対する闘い、種の尊厳を取り戻そうとする運動にもつながります。「地球を略奪し、人々の権利を抹殺して大儲けをしている一握りの人々が作り上げた束縛」に従って生きるか、世界の多くの文化がそうであるようにおごりを捨て、母なる大地を生命の中心として人間も他の生き物と同じ種のひとつだと気づき、大地の権利と折り合いをつけて生きるのか、いまがその正念場だと、2人は訴えます。(大竹秀子)
*ヴァンダナ・シヴァ(Vandana Shiva): 世界的に知られる環境問題の指導的活動家、思想家。物理学と環境学を教え、「科学・技術・環境科学のための研究基金」の理事をつとめる。原産の種子の使用と多様性を訴える「ナブダニャ(9つの種子)」運動を創始した。1993年にもうひとつのノーベル賞として知られるスウェーデンのライト・ライブリフッド賞を受賞した。『アース・デモクラシー―地球と生命の多様性に根ざした民主主義』など著書多数。
*モード・バーロウ(Maude Barlow): カナダ最大のアドボカシー団体「カナダ人評議会」の議長で、「ブループラネット・プロジェクト」の創設者。『BLUE GOLD―独占される水資源』や『"水"戦争の世紀』など著書多数。ライト・ライブリフッド賞も受賞している。
第41号(2011.6.20)
ナオミ・クライン:火事場の底力 (2011.3.9放送)
翻訳:桜井まり子 / 編集協力:中野真紀子 字幕動画
2008年以来の大不況による非常事態で高まった危機感を利用して、米国では労働組合つぶしの動きが勢いをましています。経済危機の原因であり責任者である大企業や銀行は保護し、ツケは国民に回す。社会福祉の予算をけちるばかりでなく、危機に乗じて公共サービスを民営化し金のなる木にしようと画策する。「過酷で不公平で非民主的な社会」になだれこもうとする法の立法化をめぐって、2011年はじめから全米のいくつかの州が揺れ、反組合法が続々と導入されてしまいました。ナオミ・クラインの話題作『ショック・ドクトリン』で描かれた事態が、右派イデオローグたちが仕掛ける組合つぶし法の形をとって米国市民の暮らしを直撃したのです。ところが、特にウィスコンシン州を中心に、面白い動きが出てきました。働く者の権利を守ろうと、市民が必死の反撃に出たのです。2月に起きたエジプトの民衆の蜂起がインスピレーションを与えてくれたのかもしれません。「2008年のギリシャで始まり、イタリア、フランス、英国へと飛び火」した民衆の抵抗。「世界は米国が動くのを待っていた」とナオミ・クラインは語ります。経済危機のどさくさにまぎれて、組合つぶしという火事場泥棒を試みる企業と金持ち寄りの州政権に、火事場の底力で民衆が反発したのです。ウィスコンシン州は、昔から労働運動が盛んで、人々には「豊かな集合的記憶、集合的歴史認識」があった。だから、FOXニュースなどが流す危機をあおるメッセージなどにだまされなかった。おまけに野心満々の新人知事が、絵に描いたようなわかりやすい悪漢役を演じてくれたため、人々の怒りを結集できた、とクラインは分析します。そしてさらに、「いい人イメージ」が強すぎてたたきにくいけれど、オバマは基本的には中道派。人々が本気で闘えば、きっと応えると、我慢の子を演じている米国市民たちに檄をとばします。火事場泥棒と火事場の底力の大バトル。先が見えない不況と戦況の中、米国の民主主義は、正念場を迎えています。(大竹秀子)
*ナオミ・クライン(Naomi Klein): カナダ人著述家・社会活動家。政治分析および企業グローバリゼーションの批判で知られる。邦訳書に『ブランドなんか、いらない――搾取で巨大化する大企業の非情』、『貧困と不正を生む資本主義を潰せ――企業によるグローバル化の悪を糾弾する』(ともに松島聖子訳)。話題作The Shock Doctrine: the Rise of Disaster Capitalism(『ショック・ドクトリン 惨事活用型資本主義』)の邦訳が待たれる。現在は、気候変動とショック・ドクトリンについての新著を執筆中と伝えられる。
第40号(2011.5.21)
アラブのときがきた (2011.2.17放送)
翻訳:桜井まり子 字幕動画
ムバラク退陣直後の感激の中で作成されたこの番組。リビアへの空爆はまだ始まっていませんでしたが、バーレーン、リビア、イエメン、イランなど、中東と北アフリカ諸国で大規模な民衆デモが盛り上がり、政府による暴力的な弾圧に直面する。そんな緊迫の事態が地域一帯に広がった時期でした。番組のゲストは、アルジャジーラ・イングリッシュの上級政治アナリストのマルワン・ビシャーラとノーム・チョムスキー。中でも、ビシャーラの発言に注目です。ヒラリー・クリントン米国務長官を、「アルジャジーラは『本物のニュース』を流している。、それに比べて米国テレビ・ニュースは、大量のコマーシャルにまみれ、したり顔の論議が流れるだけ」と嘆かせ、ワシントンポスト紙に「(アルジャジーラは)アラブ世界のリーダー。民衆の気持ちを反映し、明瞭に表現する」という論説が載るなど、米国でのアルジャジーラの評価は、あがりっぱなしです。今年で開局15年のアルジャジーラ。「アラブ世界の隅々から人々が発信し発言できる場を提供」してきたビシャーラの目には、エジプトなどの民衆蜂起は、急に生まれた「フェイスブック革命」などでは断じてありません。米政府やメディアなどにはテロリストよばわりされ国内でも弾圧されてきたけれど、まともな生活条件を作ろうとする地域活動家たちがコミュニティ活動を続けてきた。その長年の憤懣が反政府運動として爆発しただけ。このいくつもの国にわたる民衆のうねりに米政府や外国メディアが驚くのは、文化や言語でつながったアラブ民族の存在を認識し感じることができず、イスラエルの視点という色眼鏡を通してしか、アラブ世界をみてこなかったためだと、ビシャーラは指摘します。そして、「アラブのときが来たのでしょう。魔人がランプから解き放たれたのは間違いありません。 中東とアラブ世界に変化が訪れようとしているのだと思います」と語ります。(大竹秀子)
*マルワン・ビシャーラ (Marwan Bishara) アルジャジーラ・英語放送の上級政治アナリスト、同局のテレビ番組「エンパイア」の司会者兼編成者
*ノーム・チョムスキー (Noam Chomsky) マサチューセッツ工科大学言語学名誉教授。社会思想家、政治活動家として米国の左派を代表する人物の一人。
第39号(2011.4.28)
スティグリッツ:銀行より国民を (2010.10.20放送)
翻訳:田中 泉字幕動画
2010年、米国の経済は悪夢でした。失業率は高止まりを続け、住宅ローンを抱えていた米国世帯の1割がすでに家を失っていたにも関わらず、差し押さえのペースはとどまることを知らないかに見えました。そんな時期に行われたこのインタビューで、スティグリッツの主張は、一貫しています ―政府はまず国民を守れ。銀行の目からみれば、住人が家から立ち退かされるのは住宅ローンを返済してこなかったから。追い出されて当然だとするみるだろう。でもそれなら、そもそもなぜ、人々は住宅を担保に、担保の価値を上回る額の借金をしてしまったのか?住宅ローン会社や銀行が、住宅所有者にとって最適なローンではなく、最大の手数料を取れるローンのことしか考えず、略奪的な貸付を行ったではないのか。教育程度が低く金融知識の少ない人びとの無知につけ込んで、最大限の手数料を課し、借り手に巨大なリスクを負わせる詐欺まがいの融資を行ったのでは?おまけに、無謀な融資に伴った手続きの省略や書類の不備などごまかしが蔓延し、どれが「正当な」差し押さえなのか、見分けるのが大変、困難になってしまったこともスティグリッツは指摘します。
そんな状況の中での強制退去の執行は、あまりにも危険です。困るのは当の家族だけではありません。人々を家から追い出して、子供たちの教育を中断させホームレスを生み出すことは、地域にも悪影響がをおよぼします。空き家があるのに人々がホームレスになっているのは、市場システムが機能していない証拠であり、市場経済のあるべき姿ではない、とスティグリッツは強調します。未曾有の経済危機の中で、財政赤字を口実に、緊縮財政に戻れという声が高まっていますが、そんな主張は経済がまったくわかっていない人の言葉だとも断言します。そんなことをしても経済は弱体化するばかり。目先しかみない自己破滅的な対応にすぎない。住宅差し押さえの一時停止と景気刺激策が米経済再生にとって必須だとスティグリッツは説きます。
スティグリッツの魅力は、生身の人間への温かい視線と明快な論理。大手をふって歩く企業の都合をいさぎよく斬りすてながら、余裕を感じさせる穏和な語り口で長期的な視点にたった経済学をわかりやすく教えてくれます。ノーベル経済学賞受賞に裏付けられた確固とした理論はもちろん、クリントン政権下での米大統領経済諮問委員会委員長や世界銀行上級副総裁として、魑魅魍魎の政治の現場もみてきた人の余裕なのでしょうか。(大竹秀子)
*ジョセフ・E・スティグリッツ (Joseph E. Stiglitz): コロンビア大学教授。2001年にノーベル経済学賞受賞。現在におけるもっとも活動的かつ影響力のある経済学者の1人。邦訳書に『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』、『フリーフォール:グローバル経済はどこまで落ちるのか』、『世界を不幸にするアメリカの戦争経済:イラク戦費3兆ドルの衝撃』ほか。
第38号(2011.3.21)
カナダの農民 巨大企業に挑む (2010.9.17放送)
翻訳:小椋優子 字幕動画
カナダの農民パーシー・シュマイザーさんのキャノーラ(ナタネ)畑は、1997年、風
で飛ばされてきたモンサント社の遺伝子組み換え種子によって汚染されてしまいまし
た。これによりそれまで50年間かけて品種改良につとめてきた種子がダメになってし
まったばかりでなく、この巨大バイオ化学メーカーに、特許権の侵害で訴えられてし
まいました。その後、最高裁判所にいたるまでの7年間の裁判闘争でシュマイザーさ
んは負け続けます。その間、モンサント社は彼と家族を精神的にまいらせようと、家
族の行動を監視し脅迫を続けました。けれども、シュマイザーさん夫妻はめげません
でした。最高裁が出した判決は、形の上ではシュマイザーさん側の敗訴でした。特許
遺伝子がどこからどのようにやってきたかとは無関係に、どこにあろうとモンサント
社の遺伝子組み換え種子は、同社の財産だというのです。だがその一方で最高裁は、
シュマイザーさんがこの「モンサント社の「特許権」の「使用」から得た利益はない
として損害賠償を払う必要はないとしました。訴訟の費用も各自がそれぞれの負担と
されたことは、実質的にはシュマイザーさん側の勝利といえました。これで一件落着
に見えたのですが、この判決から2年後にモンサントの遺伝子組み換え種子が再び、
シュマイザーさんの畑を汚染しました。闘いの再開です。シュマイザーさんは近所の
人にお金を払って1本1本抜き、経費640ドルの支払いをモンサントに求めました。そ
してついに2008年、10億ドル企業モンサントはこの経費の支払いを承諾したのです。
パーシーさんがほしかったのは、日本円にして6万円あまりのおカネではありませ
ん。モンサントの遺伝子組み換え種子が農家を汚染した場合、賠償責任はモンサント
が負うという判例でした。カナダの一農民が自らの権利を守るため、巨大企業モンサ
ントを裁判に引き出しみごとしとめたのです。シュマイザーさんは、生命は不可侵だ
という信念に基づき種子や植物に特許を認めるべきではないという考えです。またこ
うも言います。「特許は私たちの種子の未来と食糧供給の未来を支配するのがネライ
です。遺伝子組み換え作物がめざしているのは、飢えている世界に食糧を供給するこ
とではなく、農家への種子の供給を管理することです」。世界の食糧供給を企業が支
配しようとしている、その事実をぜひとも世界に知らせなければ!パーシーさんの闘
いは、世界中で多くの人々の認識を深め、大きな勇気を与えています。
(大竹秀子)
*パーシー・シュマイザー(Percy Schmeiser)カナダの農民。多国籍バイオ化学メー
カー「モンサント社」とのねばり強い法廷闘争を通して独立系農家の権利ならびに遺
伝子組み換え作物の規制を訴える国際的なシンボル兼スポークスマンになった。ベル
トラム・フェアハーク監督のドキュメンタリー映画『パーシー・シュマイザー モン
サントとたたかう』(2009年)で、その活動と人となりが浮き彫りにされた。2007年
にライト・ライブリフッド賞を受賞
第37号(2011.2.16)
ジュリアン・アサンジが語る『ウィキリークス』 (2011.12.31放送)
翻訳:大竹秀子 字幕動画
ウィキリークスの年ともいわれた2010年。新しい年になっても、ウィキリークスが起こした波紋は消えることなく、世界をさらに揺るがせています。巨大な政治的パワーとさまざまな規制、情報の管理、時に武力を駆使して「秩序」と一定の利益集団の権益を守り強化しようとする硬直した政治体制。ともすればそれにがんじがらめにされ、無力感にひたされていたかに見えた世界各地の市民たち。それでも体制を支える基盤的組織の中で仕事しながら世界を少しでもよくするために、機密情報を手に入れ広く伝えたいという人々がおり、機会があれば力を併せて独裁者や腐敗した制度を倒したいという大勢の人たちがいる。フェイスブックやツィッターもそうですが、インターネットという人々への到達速度も範囲も抜群な道具をうまく使えば、情報を市民の力とし、世界を変えることができる。そんな可能性をまざまざとみせてくれたのが、2010年のウィキリークスでした。可能性を開こうとする信念とリスクを恐れぬ勇気をもつ人々の手で、市民と情報の距離と関係は、後戻りできない変化をとげたのです。デモクラシー・ナウ!では、2010年にいち早くウィキリークスの動きに注目し、情報公開活動の節目ごとに、その代表者であるジュリアン・アサンジへのインタビューを試み、公開文書が明らかにしたさまざまな情報を最大限に活かす努力を続けました。独立系メディアのトップランナー、デモクラシー・ナウ!は、2010年にハイチ地震や、BPの環境破壊ほか、独自で数多くのヒット報道を行いました。でもまたこの年は、デモクラシー・ナウ!がウィキリークスと共に走った年でもあったといえるのではないでしょうか? 2010年12月31日に放送されたこのセグメントは、その総集篇として、ジュリアン・アサンジが語る「ウィキリークス」にフォーカスした貴重な記録です。(大竹秀子)
*ジュリアン・アサンジ (Julian Assange) ウィキリークスの共同創設者兼編集長
第36号(2011.1.12)
チャルマーズ・ジョンソン:壊れ行く米国 (2007.2.27放送)
翻訳:大竹秀子 字幕動画(前編)
字幕動画(後編)
「冷戦の戦士」からアメリカ帝国主義批判の急先鋒へ。チャルマーズ・ジョンソンの軌跡は、一見極端な転換に見えるけれど、彼が熱情を傾けて守ろうとしたものは、ひとつだったのではないのか、そう思えてくるインタビューです。1960年代後半から1970年代前半にかけてカリフォルニア大学バークレー校の中国研究センターだったジョンソンは、共和国アメリカを守るため、中国と毛沢東のアナリストとしてCIAの顧問を務めました。ところが米国は、ソ連崩壊後もいらなくなったはずの兵器を捨てようとはしません。それどころか圧倒的な軍事力をふりかざし、経済や政治上の問題でさえ、武力をちらつかせたり実際に行使して解決しようとし続けるのです。そんな姿勢にジョンソンは大きな疑問を抱くようになりました。軍部・産業界・議会がみつどもえになって、本当は役にも立たない兵器を開発し、経済をまわそうとする。数十年前にアイゼンハワー大統領が警鐘を鳴らしていた軍産複合体の蔓延、基地を張り巡らせ世界を威嚇するアメリカ帝国主義、裏工作に余念のないCIA。ジョンソンは、代表作となった三部作の著書で、帝国主義アメリカを厳しく追求しました。第1作『アメリカ帝国の報復』では、汚い手口を使った海外での秘密活動により、9・11を代表とする反撃を受けることになった背景を、第2作の『アメリカ帝国の悲劇』では、そのような秘密活動を知らされていない国民がわけのわからぬ「報復」に驚き、無法な敵、イラクやアフガニスタンへと侵攻し、ますます世界の嫌われ者になっていく悲劇を、そしてこのインタビューの中心テーマとなった最終巻『ネメシス』では、外に向かう帝国主義が国内の民主主義をつぶしていく政治・社会的な惨状を、おごり高ぶったアメリカ帝国に対する復讐の女神の神罰として描きます。朝鮮戦争時代に海軍将校として初めて日本を訪れ、「日本研究に生涯を捧げた」ジョンソンですが、1996年、訪れた沖縄で「英国統治下のインドさながら」の基地の状況にショックを受けました。国防総省と手を結び「プエルトリコの日本版」として沖縄を利用してきた日本政府に対するジョンソンの批判は、このインタビューの中でも明快ですが、2006年春、ジョンソンはロサンゼルス・タイムズ紙に「沖縄の新たな闘い」と題して次のように書きました。普天間基地の県外移転を口にしていた時の鳩山首相が公約を守れず、島民に陳謝した直後のことです。「鳩山の振る舞いは臆病だし見下げ果てたものだが、日本をひどく屈辱的な袋小路に追い詰めた米国政府を私はそれ以上に嘆かわしく思う。米国は軍事基地帝国を維持しようという考えに取り付かれているが、維持する金もなければ、相手国はもうそんなものを望んでもいない。米国は、傲慢な態度をやめ普天間の海兵隊を米国内の基地に移転し(キャンプ・ペンドルトンは、すぐそこだ)、65年間、辛抱してくれた沖縄の人々に感謝すべきだ」。2010年11月20日、かけがえのない論客、チャルマーズ・ジョンソンは79歳で世を去りました。(大竹秀子)
*チャルマーズ・ジョンソン(1931-2010): カリフォルニア大学バークレー校やサンディエゴ校で30年にわたり国際政治学を教え、バークレーの日本政策研究所の所長を務めた。元CIA顧問。著書に、『アメリカ帝国への報復』、『アメリカ帝国の悲劇』、Nemesis: The Last Days of the American Republic(『ネメシス:アメリカ共和国の終焉』 )、『帝国アメリカと日本:武力依存の構造』など。
第35号(●2010.12.11)
民主主義を侵すキリスト教右派 (2007.2.19放送)
翻訳:小田原琳 字幕動画
大衆が圧倒的な声をあげることが、民主主義の健全な発展を必ずしも意味しないこと、ポピュリズム(大衆主義)は民主主義をむしばむ危険性をはらむものであることを最近の米国の世相は明らかにしています。経済が落ち込み、どう見ても不公平な貧富の差が広がり、テロの恐怖を吹き込まれ、米国の威信は地を突き、さらには天変地異のニュースが世界の各地から届き、信じ込んできた価値観がくつがえされていく。そんな時、不安や不満、怒りに駆られた人々が確かなものを求めて「伝統」や信仰にすがるのは、自然なことかもしれません。でも、その「確からしきもの」が大衆を操作するために政治的に利用されているとしたら?牧師の息子でハーバード大学で神学の修士号を受けたという経歴をもつ元NYタイムズ紙記者のクリス・ヘッジスは、ここ20年ほどの間に本来のキリスト教の教えをねじ曲げて最悪の部類の「愛国」主義をあおりたて、企業などの利益集団と手を組み、ついには政治の中枢を操作するにいたったキリスト教右派ドミニオニスト(支配主義)の動きを分析し、警告を発します。このインタビューは2007年に行われたものですが、ブッシュ政権を侵したキリスト教右派はいまではさらに筋金入りのキリスト教原理主義者とみられるサラ・ペイリンという体現者を得て大衆運動を背景としたティーパーティとつながり大向こうの人気を獲得するなど、事態はヘッジスが懸念した悪化の道をたどっています。一部の人にのみ好都合な「神の教え」を盾にして健全な討論を拒否し、科学と民主主義をつぶすこの動きは、ヘッジスによれば、1920年~30年代のイタリアとドイツの初期のファシズム運動と非常によく似ていると言います。暴力による清めと究極の救済が待つ終末に向けてまっしぐらという恐ろしいビジョンががからむだけにますます危険なドミニオニストたちの動向は、米国民ならずともしっかり把握しておくべきだと思えます。(大竹秀子)
*クリス・ヘッジス ジャーナリスト。元NYタイムズ紙記者、ピュリッツアー賞受賞。海外特派員として20年あまりを中東や中米、アフリカ、バルカン半島などで過ごす。現在は、ネイション・インスティテュートの上級特別研究員。近著はAmerican Fascists: The Christian Right and the War On America(『アメリカのファシズム:キリスト教右派とアメリカをめぐる戦争』)
第34号(2010.11.10)
ウィキリークスとハッカー文化 (2010.7.27放送)
翻訳:桜井まり子 字幕動画
米国史上最長の戦争となってしまったアフガニスタン戦争、「米軍撤退」とは名ばかりで組閣もままならず流血沙汰が絶えないイラク。巨額の税金を使い多大な犠牲者を生みながら、いずれも出口の見えない状態が続いています。なのに米国主流メディアは、流す情報も限られオピニオンリーダーとしてまったくの無力。そんな中、颯爽と登場した神出鬼没の機密情報公開サイト、ウィキリークスは、国や軍が隠しておきたい報告書や日誌、映像を公開し、情報統制に風穴をあけています。電子情報の現代では、ほんの少人数、時にはたった1人の人間でも膨大な量の情報をあっというまに手に入れることが可能です。距離的にも量的にも情報収集や処理が簡単で早くなった分、情報の適切な扱いが問われます。隠されている情報を広く皆が知るべきものとして漏洩・公開したり、機密とすべきものの保護が有効になされているか挑戦したり。ハッカー活動家たちはコンピューター技術を武器にネットの世界を活動の場とし、軍や政府、時には企業に果敢に挑みます。ウィキリークスの編集長ジュリアン・アサンジのルーツはそんなハッカー文化。ウィキリークスの活動家たちの情報ゲリラ的な活躍は、政治を変える力になっていくのでしょうか。今号のニュースレターでは、ハッカー社会とウィキリークスの活動についてハッカー社会の名士、エマニュエル・ゴールドスタインが語ります。(大竹秀子)
*エマニュエル・ゴールドスタイン(Emmanuel Goldstein) ハッカー社会では有名な人物で、雑誌『2600:季刊ハッカー』の編集人。世界ハッカー会議(Hackers on Planet Earth)の主催者。
第33号(2010.10.10)
フリーダムライダーズ (2010.2.1放送)
翻訳:大竹秀子 字幕動画
勇気が活きる時がある。1960年代の初め、公民権運動の勢いに全国的な火をつけた「自由のための乗車運動(フリーダムライド)」は、まさにそんな歴史的瞬間だった。万人の平等を謳う連邦政府の憲法とは裏腹に人種隔離・差別を合法化してきた南部の人種差別法を撤廃させようとする公民権運動が、市民たちが担う運動として最初に成功したのは、ローザ・パークスの逮捕に始まった1955年のアラバマ州モントゴメリーでのバス・ボイコット事件だった。この時26歳の若さでありながらその指導力で一躍脚光を浴びたマーティン・ルーサー・キング師と教会や市民によるいくつかの有力な黒人団体により公民権運動は一挙に広まったが、1960年代の公民権運動に大きな力を与えたのは学生たちを中心とする若い世代のパワーだった。特にガンジーの流れを汲む非暴力不服従運動のトレーニングを受けた白人と黒人の若者たちは、人種隔離を禁止する最高裁の判決に抗して人種差別を続けるディープサウスにバスで乗り込み、州の人種差別法を公然と破ってみせることで人種差別主義者たちに挑戦し、人種隔離を事実上放任していた時のケネディ政権の姿勢を正したのだった。正義感に燃え、命知らずで向こうみずとさえ言える若者たちの運動は、南部各地で暴力にさらされ、時にはキング師にすら挑戦しながら市民の抵抗運動としての公民権運動を一挙にもりあげ、米国の民主主義を鍛えあげたのだ。「自由のための乗車運動」50周年を機に制作されたスタンリー・ネルソン監督のドキュメンタリー『フリーダムライダーズ』のサンダンス映画祭での初上映を機に、監督とフリーダムライダーズ2人が、重要でありながらよく知る人が少ないこの運動の史実と感動の体験を語ります。(大竹秀子)
*スタンリー・ネルソン(Stanley Nelson) 映画作家。映画 『The Freedom Riders』の監督。他の作品には、『The Murder of Emmett Till 』『Wounded Knee』などがある。
*バーナード・ラフィエット(Bernard Lafayette)エモリー大学の宗教・紛争・平和構築教授。1961年ナッシュビル=ニューオーリンズ間の「自由のための乗車運動」に参加した。
*ジム・ツワーグ(Jim Zwerg) 1961年ナッシュビル=ニューオーリンズの「自由のための乗車運動」に参加。アラバマ州モントゴメリーで群衆に襲われて重傷を負った。
第32号(2010.9.10)
貧困の終焉? (2009.11.10放送)
翻訳:川添峡子 / 編集協力:中野真紀子 字幕動画
国連の調査によると世界には、極貧とされる1日1ドル以下で暮らす人々が10億人もいます。貧困に苦しむ人は27億人、世界の3分の1以上にも達します。世界には十分な資源があるのになぜ、何十億人もが飢え、貧困から抜け出せないのか? フィリップ・ディアス監督のドキュメンタリー映画『貧困の終焉?』は、歴史をさかのぼり政治・経済的な側面をふまえて、貧困の真の原因を追求します。浮き彫りにされるのは、先進国が途上国に課している過酷な収奪システムです。先進国に住む私たちは、温情深い先進国は遅れた途上国への支援に励んでいると思い込みがちです。けれども、映画の中で政治学者のスーザン・ジョージは、このとんでもない妄想をばっさりと断ち切ります―第3世界は先進国への債務返済のため、毎分約2万5千ドルもの金を北半球に支払っている。「北」こそ、「南」の資金によってまかなわれているのだ、と。ディアス監督はこの不公正な収奪のシステム創設の起源を求めて、コロンブスの時代にまでさかのぼります。さらに、地球上の2割の住人が8割以上の資源をほしいままにしている現在、先進国の人々がその贅沢な生活水準を維持するには、第3世界の人々を貧困に陥れ犠牲にせざるをえないという明白な事実(「彼らが貧しいのは私達が豊かだから」)を指摘し、収奪の構造から目をそむけた貧困撲滅政策の欺瞞を告発します。
ベネズエラ、ブラジル、ボリビア、ケニア、タンザニア、欧米―4大陸で行った100時間を超えるインタビューをしぼりこんで構成された『貧困の終焉?』は、2008年5月のカンヌ国際映画祭批評家週間に完成前から選ばれ、2009年のグローバルな経済危機があらわにした世界経済構造の破綻にいち早く警告を発する作品にもなりました。セグメントの最後では、デモクラシー!ナウのために特別に編集されたビデオクリップで、エコノミック・ヒットマンとして第3世界収奪政策に力を貸したジョン・パーキンズ氏が、ボリビアの副大統領アルバロ・ガルシア・リネラ氏に、「天然資源の豊かなボリビアのような国がなぜ貧しいのか?」と、現代のグローバルな貧困のからくりについてインタビューしています。併せてお楽しみください。(大竹秀子)
*フィリップ・ディアス (Philippe Diaz) フランス生まれの映像作家・プロデューサー。ソルボンヌで哲学を学んだ。The End of Poverty?(『貧困の終焉?』)の監督。2003年にカリフォルニア州でシネマ・リーブル・スタジオ(Cinema Libre Studio)を創設。同スタジオは最近、ジョン・パーキンズの著『エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ 』の映画化権を獲得しており、完成・公開が待たれる。
第31号(2010.8.10)
パレスチナの桂冠詩人 マフムード・ダルウィーシュ (2008.8.11放送)
翻訳:桜井まり子 / 編集協力:中野真紀子 字幕動画
パレスチナを代表する詩人、マフムード・ダルウィーシュが亡くなってから2年がたちました。詩が文学の、そして文化の中心であるアラブ世界でダルウィーシュの詩はあまねく知られ、愛されています。ダルウィーシュが生まれた村は1948年、彼が6歳の時、イスラエル軍に占領され破壊されました。一家はレバノンに難を逃れましたが、後にダルウィーシュは故郷に近い村に戻り、いてはならない「滞留不在者」になりました。ダルウィーシュは生涯を通してパレスチナの「抵抗の詩人」でしたが、作品はギリシャ悲劇でほろぼされたトロイ人やほかの先住民の悲劇をも含みこみ、深い普遍性に満ちた世界の文学へと昇華されました。ゴダールの映画の中でダルウィーシュは以下のようなことを述べています。「私は不在者の名において語ろうと思った。トロイ戦争で語り部となる詩人をもたず滅ぼされたトロイの語り部になろうとした。犠牲者の声を語ったのは勝者ギリシャの詩人エウリピデスだった。創造性や人間らしさは、勝利よりも敗北の中に現れる」。心臓の大手術による死にいたるまで、たゆまず枯れることなく、新しい自分・新しい言葉を追い求めたダルウィーシュ。いたましいまでに美しくみずみずしいことばをつむぎ続けた詩人でした。(大竹秀子)
*ファーディ・ジューダ(Fady Joudah) ヒューストン在住のパレスチナ系アメリカ人の医師、詩人、翻訳家。詩集Earth in the Attic(『屋根裏の土』)は文学賞を受賞した。ダルウィーシュの近作The Butterfly’s Burden(『蝶の重荷』)を英訳した。
*シナン・アントゥーン(Sinan Antoon)イラク人の詩人、翻訳家、映画作家。現在ニューヨーク大学でアラブ文学を教えている。2003年に発表された詩集Unfortunately, It Was Paradise(『残念ながらそれが天国だった』)を始め、ダルウィーシュの詩を多数翻訳した。アントゥーン自身も昨年、英語で書かれた詩集Baghdad Blues『バグダッド・ブルース』を出版しており、『イラク・ラプソディ』という小説も発表している。
第30号(2010.7.10)
沖縄・グアム・ハワイ:太平洋米軍基地の拡大に反対する国際的連帯 (2010.5.24放送)
翻訳:中村達人・桜井まり子 字幕動画
2010年4月30日~5月1日にニューヨークで開催された「非核、平和、正義、持続可能な世界を求める国際会議」に参加した、ハワイ・グアム・日本の活動家が太平洋地域での米軍の基地拡大に反対し国際的連帯を論じます。5月末、普天間飛行場の移設先を辺野古崎にすると鳩山由起夫首相(当時)が発表した直後、絶妙なタイミングでオンエアされたこのセグメントでは、太平洋全域を牛じる米国の覇権が歴史的に問われます。米国の太平洋進出が始まったのは19世紀末。まずはクーデター勢力を支援してハワイ王国を乗っ取り最初の軍事基地を築き、さらに衰退の一途をたどっていたスペイン植民地帝国に戦争をしかけ、フィリピンとグアムを掌握しました。以来、太平洋地域を自国の裏庭のように扱い、やがて日本との覇権争いから太平洋戦争になだれ込みます。日米の軍国主義のはざまで大量の犠牲者を出したグアムの先住民たちは、今また米軍の再編にからむ太平洋地域での新たな基地拡大に直面しています。一方、ハワイは太平洋全地域の軍司令部としてタコの頭のような存在です。政治・文化・環境・社会などさまざまな面で基地が島民の暮らしにもたらす悪影響ははかりしれません。しかも、そこからグアムや沖縄などに触手がのびる。ひとつ、ふたつ、触手を切っても頭が健在な限り、触手は必ずまた伸びるとハワイのカイル・カジヒロさんは語ります。民族を分断され、大統領選挙にも参加できない二流市民の地位に甘んじながら、基地だけ押しつけられるグアムの先住民の苦境も、特にグアムの歴史に日本が果たした役割を考えれば人ごとではありません。沖縄の方々の苦しみはもちろんですが、日本の基地問題を日本の国内問題としてだけみていては見逃しかねない視点をこのセグメントは切り開いてくれます。基地が存在する限り「米軍基地問題」は消えないのです。番組で紹介された15分にウェブ掲載のみの部分を加えた完全版でお届けします。(大竹秀子)
*カイル・カジヒロ (Kyle Kajihiro) ハワイのアメリカ・フレンズ奉仕団のプログラム・ディレクター。 ハワイの反基地闘争ネットワークDMZ-ハワイ/アロハ・アイナ・ネットワーク(the DMZ-Hawai’i/Aloha 'Aina Network)を推進している活動家
*秋林こずえ 日本の研究者、活動家、「婦人国際平和自由連盟」や 「軍国主義に反対する国際女性ネットワーク」(Women's International Network Against Militarism)のメンバー
*メルビン・ウォンパット=ボルハ(Melvin Won Pat-Borja) グアムの教育者、詩人。グアムの軍事基地増強に反対するネットワーク、「我々はグアム人」(We Are Guahan)のメンバー
第29号(2010.6.10)
追悼 ハワード・ジン 無数の人々に愛された気骨の活動家・歴史家:「無名の人々の無数の小さな行動が歴史を動かす」 (2010.1.28放送)
翻訳:大竹秀子 字幕動画
歴史家・著述家・活動家のハワード・ジンは、2010年1月27日に心臓発作により87歳で急逝しました。第2次大戦では空軍の爆撃手だったジンですが、戦後読んだ、ジョン・ハーシーの著作『ヒロシマ』が、彼を変えました。6人の被爆者の体験を読み、爆弾を落とされる側の民衆の痛みを鋭い感受性で感じとった彼は、無条件の反戦家になったのです。権力者の意のままに服従し、殺人機械になることを拒否しようと心に決めた彼は、公民権運動でもベトナム反戦運動でも、つねに正義をおびやかされる民衆の側に立って闘いました。また、ひとにぎりの偉人の手によってではなく名もない人々の闘いが歴史を動かすという歴史家としての信念に基づいて書いた著書『民衆のアメリカ史』は、米国史に新しい視点を切り開きました。市民的不服従を信じ、暴力にさらされながらも勇気をもって非暴力を貫き、正義を行動で説き続けた彼でしたが、言葉の力、特に語られる言葉の力を信じた人でもありました。晩年は正義のために闘った有名・無名の個人の言葉を「語り」として次世代に向けて残すプロジェクトにも精力的にかかわり、完成したばかりのドキュメンタリー映画『民衆は語る』が最後の代表作になりました。ジン本人の言葉を軸に、ノーム・チョムスキー、アリス・ウォーカー、ナオミ・クライン、アンソニー・アーノーブという彼を最も良く知っていた人々が「想像もつかないほど多くの人々の心に触れ、彼らを変え、人間として向上するのを助けた(チョムスキーの言葉)」ハワード・ジンを追憶します。(大竹秀子)
*ノーム・チョムスキー:思想家。言語学者。マサチューセッツ工科大学名誉教授。『メディア・コントロール‐正義なき民主主義と国際社会』『9・11‐アメリカに報復する資格はない』『チョムスキーの「アナキズム論」』など、著者多数。
*ナオミ・クライン: ジャーナリスト、著述家。代表作は、邦訳が待たれる『The Shock Doctrine: The Rise of Disaster Capitalism』、『ブランドなんか、いらない‐搾取で巨大化する大企業の非情』。
*アリス・ウォーカー:小説家・詩人。1983年に著書『カラー・パープル』でピュリッツァー賞フィクション部門を受賞。1960年代初期にスペルマン・カレッジでハワード・ジンの教え子だった。
*アンソニー・アーノーブ:『米国の民衆史の声』でハワード・ジンの共著者。映画『民衆は語る』でハワード・ジンと共同監督。
第28号(2010.5.10)
ホワイトパワーUSA:勃興する右翼民兵組織 ──黒人大統領誕生の背後で(2010.1.11放送)
翻訳:大竹秀子 字幕動画
バラク・オバマ当選による黒人初の米国大統領誕生は、米国の民主主義の歴史の輝かしい頂点として世界の注目を浴びましたが、米国の人種差別の歴史に終止符が打たれたわけではありません。オバマ当選以来、憎悪犯罪や政治的動機の殺人、暗殺の脅迫が急増し、人種差別を動機とする殺人も後を絶ちません。自分たちのよりどころである「白人のアメリカ」が脅かされたと感じる人々の危機感に乗じて白人至上主義団体は保守派大衆運動の主流に食い込み、いくつかの州では右翼民兵組織が勢いを増しています。彼らは、経済破綻や高い失業率など、国民の不安と不満をかきたてるわかりやすい問題で人々をおびき寄せ、マイノリティや移民を国をそこなわせる悪者に仕立てて憎しみをあおります。独立系映画製作者のリック・ローリーとジャッキー・スーヘンは白人ナショナリズム運動の中でも特に過激なネオナチ白人至上主義団体の内部に入り込み、反動の動きを追いました。揺れる米国の一面を捉えた貴重なドキュメントです。(大竹秀子)
*White Power USA(『ホワイトパワーUSA』):リック・ローリーとジャッキー・スーヘン製作のドキュメンタリー。全編は、アルジャジーラ英語放送とビッグノイズフィルムズのサイトでご覧いただけます。
*チップ・バーレ:政治研究アソシエイツの上級アナリスト。著書に、 Right-Wing Populism in America: Too Close for Comfort(『米国の右翼大衆主義: 近すぎると不快』)がある。
第27号(2010.4.10)
ハイチ 栄光と苦難の200年 ──ランダル・ロビンソンが語る黒人奴隷革命からアリスティド拉致まで(07.07.23放送)
翻訳:桜井まり子 字幕動画
2004年2月、ハイチのアリスティド大統領が拉致され外国に追放されました。無法な事件を操っていたのは米国、そしてフランスの影も。米国政府は暴挙を否定。アリスティドの自発的な出国だったと主張し続けています。中央アフリカ共和国に送られたアリスティドから連絡を受けたランダル・ロビンソンさんは、米国政府の意向に逆らい、現職の米民主党委員やジャマイカが派遣した国会議員などを含む代表団を結成。小さなチャーター機で中央アフリカに向かい、交渉の末、拘禁中だったアリスティドをジャマイカに連れ出しました。同行したデモクラシー・ナウ!のエイミー・グッドマンは、機上でアリスティドをインタビュー。拉致を主張するアリスティドの言葉を世界に流し、大スクープとなりました。 南アフリカでのアパルトヘイトに反対し、社会正義に向けて人々の活動を果敢に支援し続けてきたロビンソンさんが、黒人奴隷革命による栄光の独立後、欧米によってたたかれ続けたハイチの苦難の歴史、そしてアリスティド拉致のまざまざとした真実を語ります。(大竹秀子)
*ランダル・ロビンソン(Randall Robinson) 法律家、活動家。1977年トランスアフリカ・フォーラム(TransAfrica Forum)を創設。カリブや中南米も含めたアフリカ系ディアスポラ社会ならびに米国のアフリカ政策の研究に力をいれ、特に南アフリカのアパルトヘイトに対する反対運動の急先鋒として活躍。ベストセラーとなったThe Debt: What America Owes to Blacksのほか、ハイチの歴史を扱ったAn Unbroken Agony: Haiti, From Revolution to the Kidnapping of a President(『終わらない試練 ハイチ 革命から大統領拉致まで』)などの著書がある。
第26号(2010.3.10)
GMの金のなる木 ──米汚染企業の環境対策で森を追われるブラジルの農民(09.11.05放送)
翻訳:川上奈緒子 字幕動画
どこに行くにも何時間も泥道を歩いたり、カヌーをこいでいかなければいけない、森に囲まれたブラジルの小さな集落。人々は狩りをし、魚を捕り、森のめぐみを採集して暮らしてきました。ところが、ある時から、「環境警察」と称する人々が登場し、村人を森から追い出し始めました。何が起こったのでしょう。環境警察を送り込んできた元凶は、はるか遠くの米国の巨大企業、ゼネラル・モーターズ。GMが確保したいのは、森の木が大気中から取り込みセルロースなどにして貯め込んでいる二酸化炭素。GMはシェブロン石油などと並んで、世界最大の環境汚染企業のひとつです。けれども、樹木が空気中から隔離してくれた二酸化炭素を買うことにより、企業は規制枠として課された温室効果ガス排出量上限を超えて排出してしまった二酸化炭素を帳消しにすることができるのです。あるいは、手に入れた二酸化炭素排出権を売ることも可能です。GMにとって炭素を貯め込んだ森の木は、金のなる木にも等しいのです。「京都議定書」で、温室効果ガスの削減をより容易にするためのメカニズムのひとつとして導入された排出権取引はいまでは1500億ドルの市場に達しています。世界最大の環境汚染企業のひとつが、環境優良企業のイメージを手に入れるために、そしてちゃっかりひともうけしてしまうため、何世代も自然と共に暮らし自然を守ってきたブラジルの地元の人々を森から追い出す。あまりにも皮肉な排出権取引の実像をマーク・シャピロ記者が報告します。(大竹秀子)
*マーク・シャピロ(Mark Schapiro) サンフランシスコにある調査報道センターの編集主任、上級記者。
第25号(2010.2.10)
ハミッド・ダバシ: いま、イランで起きていること(09.06.24放送)
翻訳:田中泉 字幕動画
イランでは2009年6月12日の大統領選後に選挙不正の疑惑から大衆的な抗議行動が広まりました。ジャーナリストや活動家たちの逮捕・拘束が続出し、抗議運動参加者が弾圧され、抗議運動に加わった若い女性ネダさんが射撃され血まみれになりながら生命を落とす衝撃的な映像がネット経由で世界中に広がると、世界各地でイラン政府への強い怒りがまき起こりました。米国では議会の右派・左派が、それぞれの思惑からイランでのこの運動に「待望」の新たな革命の到来を見、右派は経済制裁強化による運動への支援を呼びかけました。だが、コロンビア大学のイラン研究・比較文学教授ハミッド・ダバシ氏はこの勇み足に、危険をみます。「イランの現憲法はすでに公民権を認めており、イラン市民が求めているのは、その公正な行使。すなわち、これは公民権運動であり、内政問題。経済制裁などの外国からの圧力は、イランの市民運動の息の根をとめかねない」と。他国の市民の事情を忖度せず、手前勝手な解釈で介入し、仕切ろうとする米国の政治文化に根強くはびこるまたしてもの「帝国主義的思い上がり」に、ダバシ教授は冷や水を浴びせます。(大竹秀子)
*ハミッド・ダバシ(Hamid Dabashi) コロンビア大学のイラン研究・比較文学教授。イランの近代史を「伝統」と「近代性」の対立として捉える欧米の固定的な見方を植民地主義の道具として排し、まったく異なるイランの姿を提示した好著『イラン 背反する民の歴史』をはじめ、多数の著書がある。
第24号(2010.1.10)
モード・バーロウ: 水が危ない! (08.02.27放送)
翻訳:小田原 琳 字幕動画
いま私たちは人類史上で最大の水の危機に直面しています。世界的に水資源が枯渇化し、カリフォルニア州では20年、ニューメキシコ州では10年もたないだろうと言われています。そんな時、この危機感をあおる形で大企業が世界の水を食い物にしています。水のカルテルを作り、水道事業を民営化し、お金を払えない人には水を供給しようとしません。お金がなければ水を飲めない時代が、到来しているのです。グローバルな水の正義を求める活動家モード・バーロウさんは、企業と政府が一体となった水の不正義に異を唱えます。「水のリサイクル」と言えば聞こえがいいけれど、汚水の浄化ばかりを重視する各国政府の水政策は、まず水を汚染するに任せてから浄化しボロ儲けをするという企業の発想に乗ったもの。節水や、水源の保護という、もともときれいな水を守る本来の姿勢が忘れられているとバーロウさんは批判します。さらに、バーロウさんが警告を発するのは、無意味で有害なボトルウォーターの蔓延です。水道水と違い政府当局の規制をほとんど受けない、時に有害物質を含む水が、ボトルにはいっているというだけで安全・清浄・美味という錯覚を生み、世界中で大量に消費され企業を儲けさせる。さらにぽい捨てされるボトルは地球の環境汚染を増しています。今号のニュースレターでは、ドキュメンタリー映画『FLOW‐水への愛』のインスピレーション源にもなったモード・バーロウさんのインタビューを映画からの抜粋と共にお届けします。巨大企業による水の商品化、人間の生存に欠かせないこの貴重な資源の争奪をめぐり各国政府がしのぎを削る水の政治化に、バーロウさんは警鐘を鳴らします。(大竹秀子)
*モード・バーロウ(Maude Barlow) グローバルな水の正義を求める運動の活動家。カナダ最大のアドヴォカシー団体「カナダ人評議会」の代表で、「ブループラネットプロジェクト」の創設者。『BLUE GOLD―独占される水資源』や『"水"戦争の世紀』など著書多数。もうひとつのノーベル賞として知られるスウェーデンのライト・ライブリフッド賞(Right Livelihood Award)も受賞している。2008年から2009年にわたり、水に関する国連初の顧問を務めた。最新刊は『ウォーター・ビジネス――世界の水資源・水道民営化・水処理技術・ボトルウォーターをめぐる壮絶なる戦い』。
第23号(2009.12.10)
「映画監督デビューから20年、新作『キャピタリズム~マネーは踊る』で一挙に核心に迫るマイケル・ムーア」 (09.09.24放送)
翻訳:斉木裕明 字幕動画
車の町、故郷でもあるミシガン州フリントでゼネラルモーターズの「合理化」による工場閉鎖が町の人々の暮らしを破壊的に変え、町を荒廃させていく様子に心を痛め、当時の同社会長ロジャー・スミス氏への突撃インタビューを試みた、痛烈だが観客へのユーモラスなサービス精神もたっぷりのドキュメンタリー映画『ロジャー&ミー』でマイケル・ムーアが一躍、人々の脚光を浴びてから20年。その後も、米国の「不公平で不公正、非民主的な」経済制度に苦しむ人の視点で、複雑な問題をだれにでもわかりやすい方法で取り上げ、人々の理解と行動を訴えるさまざまな作品を体当たりで手がけ「米国でもっとも怖れられる」映画監督として活躍を続けてきました。新作『キャピタリズム~マネーは踊る』では、未曾有の経済危機を経験したばかりの観客に向けて、金融詐欺まがいと化した優しさのない資本主義の罪を問い、悪の仕組みを解き明かし、解決への道を探ります。マイケル・ムーア・ファン、待望のセグメントです。(大竹秀子)
*マイケル・ムーア(Michael Moore)ドキュメンタリー映画作家で著作も多い。アメリカの銃社会の抱える問題点をえぐった『ボウリング・フォア・コロンバイン』(2002年)でカンヌ映画祭の特別賞やアカデミー賞(長編ドキュメンタリー部門)を受賞した。2004年には米国同時多発テロ以降のアメリカ社会とブッシュ政権を批判した『華氏911』(2004年)を発表し、カンヌ映画祭のパルムドール(最高賞)を受賞した後、2007年には、『シッコ』で、米国の医療保険制度の問題点を鋭く突くなど、体当たりの作品を次々と制作。1作ごとに大きな話題を呼んでいる。
第22号(2009.11.29)
「白い肌のテロリスト」 反アパルトヘイトの詩人ブレイテンバッハ: Part 2 (08.12.26放送)
翻訳:桜井まり子 字幕動画
南アフリカの亡命詩人で作家、画家としても誉れ高いブレイテン・ブレイテンバッハのインタビューのPart2です。アフリカの民主社会形成に悪影響を及ぼす米国の外交政策の歪みを鋭く指摘したPart1に引き続き、グローバル化の推進力となっている国際資本主義の弊害と危機を指摘し、市民社会の強化と連帯を訴えながら、ソマリアの海賊問題、中国のアフリカ進出、パレスチナの悲惨な現状などについて、深い洞察力に裏打ちされた率直な発言を行っています(大竹秀子)
第21号(2009.11.10)
「白い肌のテロリスト」 反アパルトヘイトの詩人ブレイテンバッハ: Part 1 (08.12.26放送)
翻訳:桜井まり子 字幕動画
南アフリカの亡命詩人で作家、画家としても誉れ高いブレイテン・ブレイテンバッハのインタビューを2号にわたってお届けします。ブレイテンバッハは、1939年、アフリカーナーとよばれる南アフリカ白人の有力な家庭に生まれましたが、反アパルトヘイト運動に深くコミットするようになりました。60年代 初めにパリに移り住みベトナム系フランス人の女性と結婚したため、白人と非白人との性的関係と異人種間の結婚を禁じた当時の人種差別法に違反し、合法的な帰国が不可能になりました。1975年、偽造パスポートでひそかに南アフリカに戻ったところを逮捕され、テロリストとして7年間投獄されました。この獄中体験を綴ったのが、代表作のThe True Confessions of an Albino Terrorist(『白い肌のテロリストの真実の告白』)です。現在は、ニューヨーク大学で文芸創作を教える一方、西アフリカのセネガルにある「アフリカで平和で自立的でオープンな社会を促進する市民組織」ゴレ協会の事務局長としても活躍しています。Part 1にあたる今号では、マンデラの指導のもと、アパルトヘイト体制の崩壊を実現させたものの、民族の和解による真に新しい国家の建設に失敗し、新自由主義を奉じるムベキ前政権下、格差の拡大、暴力、エイズ問題に苦しむことになった南アフリカの現状を批判し、解放運動から出発したアフリカの諸政権が陥った罠に注意を喚起し、さらに、アフリカの民主社会形成に悪影響を及ぼす米国の外交政策の歪みを鋭く指摘します。(大竹秀子)
*ブレイテン・ブイレイテンバッハ(Breyten Breytenbach) 有名な南アフリカ出身の詩人、画家、反アパルトヘイト運動家。1939年、南アの白人家庭に生まれたが反アパルトヘイト運動に身を投じるようになった。60年代初めパリに移り、1975年、偽造パスポートで南アに潜入して逮捕され、テロリズムの罪で7年間投獄された。現在、ニューヨーク大学で文芸創作を教える一方、西アフリカのセネガルにあるゴレ協会を拠点に市民活動も行っている。
第20号(2009.10.10)
デヴィッド・ハーヴェイ:不死鳥・資本主義を絶やすには (09.4.2放送)
翻訳:大竹秀子 字幕動画
2008年秋から表面化した世界を覆う金融危機。この危機は個人の自由・市場の自由という「新自由主義」の巧みな言葉によって正体をくらましながら1970年代から徐々に進行してきたと、デヴィッド・ハーヴェイは論じます。世界中の資産をほんの一握りの人々が握り、極端な格差が広がる社会。銀行は政府の救済をあてにして高利益だがハイリスクな投資にせいを出し、当然の失敗のツケは政府の手で国民にまわされます。金融危機は資本主義に組み込まれたシナリオの一部。矛盾をはらんだ経済制度・資本主義は、あらかじめ抱え込む「不合理」を危機対策を通して「合理化」し、不死鳥のようによみがえってきました。その構造は、今回の金融危機も同じです。でも、環境も社会も政治もすでにこのパターンを続けられない限界に達してしまったとハーヴェイ教授は危惧します。どうやればこの悪しきサイクルから抜け出せるのか?ゼロ成長の経済の可能性は?そしてそこにいたる道筋は?鍵を握るのは、グローバルな市民たちによる強力な社会運動。実を言うと、新しい社会・経済の枠組み作りの可能性は世界各地で芽吹いている、いまこそ世界をまったく違う方向に変えるため真剣に問いを発すべき時だとハーヴェイ教授は示唆します。(大竹秀子)
*デヴィッド・ハーヴェイ(David Harvey) 著名なマルクス派地理学者、社会学者。ニューヨーク市立大学大学院センターの人類学特別教授。カールマルクスの『資本論』を40年近く教え続け、地理学や都市理論など多数の著作がある。『空間編成の経済理論――資本の限界』(大明堂)や、最近では『新自由主義――その歴史的展開と現在』(作品社)など邦訳も多い。
第19号(2009.9.25)
パシフィカ・ラジオ、栄光と苦闘の60年 2 闘う公共放送、市民を裏切らないメディアをめざして (09.4.15放送)
翻訳:田中泉 字幕動画
パシフィカ・ラジオ誕生60周年を記念して、デモクラシー・ナウ!では、2009年4月15日にドキュメンタリー映画『KPFA放送中』を紹介しました。今号のニュースレターは、その後半をお届けします。因習と戦い、右派から左派まで、信じられないほど広い幅の意見を番組に勇敢に盛り込んだKPFA局でしたが、民主主義・平和主義を守るという基本姿勢は不動でした。1960年ニューヨークにWBAI局、ロサンゼルスにKPFK局が誕生し、パシフィカはネットワークとして広がります。冷戦下でヒステリー化した反共思想統制からの追求と闘い、黒人公民権運動、ベトナム反戦運動など米国社会をゆるがせたできごとを市民の目線で追った骨太のスタッフや熱心なリスナーに支えられ、パシフィカ・ネットワークは信頼できる情報の提供者として絶世期を迎えます。けれども、闘いはきれいごとだけではすまず、内紛と妥協に傷つきもしました。インターネットの隆盛で大手マスコミも含め、新聞・ラジオ・TVなど、20世紀の主要ニュースメディアが存亡の危機を迎えている現在、多様化するリスナーと膨大な費用を抱え、公共放送も厳しい立場に追い込まれています。財力にあかせたメディアの統合化が進む中、創始者ルイス・ヒルが切望した「みんなの放送」の精神を活かす道は?激動の60年を生き延びたパシフィカは、いまなおたゆまぬ試練にさらされています。(大竹秀子)
*KPFA on the Air(『KPFA放送中』) パシフィカ・ラジオの歴史を記録したベロニカ・セルバーとシャロン・ウッド制作⁄監督の映画。ナレーションはピュリッツァー賞受賞作家アリス・ウォーカー。
第18号(2009.98.10)
パシフィカ・ラジオ、栄光と苦闘の60年 1 ありえない公共放送が誕生 (09.4.15放送)
翻訳:田中泉 字幕動画
共感するリスナーからの寄付金だけを財源とする公共独立ラジオ放送。ありえないと思われたそんなアイディアを米国で実現させたのは、ルイス・ヒルと仲間たちでした。第2次大戦中、良心的兵役拒否者として収容所に入れられた経験をもつ平和主義者の彼らは、人類を滅ぼしかねない死の兵器、原爆が日々、脅威をもたらす大戦後の世界に強い危機感を感じました。平和な世界を実現するためには、対決するさまざまな意見を戦わせ、その対話を人々が自由に聞ける場を作る必要があるという思いに駆られたヒルが目をつけたのは、ラジオ放送。当時、政治的にも文化的にも新しい風の送り手となっていたサンフランシスコ・ベイエリアのバークレーで、パシフィカの初めての放送局KPFAが第一声をあげたのは、1949年4月15日のことでした。政治的・経済的・社会的に権力をもつ勢力に牛耳られない放送局を作るには、彼らに金を出させてはいけない。全財源を市民の寄付に負うべきだとする徹底したヒルの構想は、財政的にも思想的にもパシフィカをたえまのない嵐のただ中に送りこみます。パシフィカ・ラジオ誕生60周年を記念して、デモクラシー・ナウ!では、2009年4月15日にドキュメンタリー映画『KPFA放送中』を紹介しました。今号のニュースレターでは、その前半をお届けします。KPFA局はまた、サンフランシスコに吹き荒れた芸術の新しい息吹を伝える局でもありました。番組ではラングストン・ヒューズやアレン・ギンズバーグなど、米国文学史に輝く詩人たちが自作を朗読する声も聞かれます。この機会にぜひ、字幕付き動画をもう一度ご視聴ください。(大竹秀子)
*KPFA on the Air(『KPFA放送中』) パシフィカ・ラジオの歴史を記録したベロニカ・セルバーとシャロン・ウッド制作⁄監督の映画。ナレーションはピュリッツァー賞受賞作家アリス・ウォーカー。
第17号(2009.8.10)
戦時下の性的暴力と闘うモニカ・ハウザー (08.12.8放送)
翻訳:関 房江 字幕動画
1992年、婦人科医の卵だったモニカ・ハウザーさんはボスニアで民族浄化の武器としてレイプが組織的に行われ多くの被害者を生んだことを知り、衝撃を受けました。単身でボスニアに赴いたハウザーさんは、戦闘地域に近い工業都市ゼニカで、セルビア人占領地から逃れてきた、性的暴力にあった女性たちのためにケア・チームを編成しました。こうしてスタートした「メディカ・モンディアル」は、医師や助産婦、精神分析医などにより構成されており、医療だけでなく心理的ケアを統合し、全体的な治癒をめざすことを優れた特色としています。ハウザーさんは、その後、コソボとアフガニスタンでも同様なプロジェクトを創始したほか、インドネシア、リベリア、コンゴ民主共和国などの国々の現地女性組織の支援も行ってきました。
2008年、デモクラシーナウ!のエイミー・グッドマンなどと共に、「もうひとつのノーベル賞」と呼ばれるライト・ライブリフッド賞の受賞者となったハウザーさんは、この受賞記念インタビューの中で、もうひとりの受賞者であるソマリアのアシャ・ハジさんの功績である「和平交渉への女性の参加」の重要性も強調し、和平に向けての女性たちの団結した努力に発言権をもたせることが紛争解決にとってきわめて重要だと力説します。性的暴力を道具として使う男たちの戦争により、苦難の現実に直面させられる女性たち。その現実を突きつけて戦争犯罪の責任を問うこと、そしてそのような犯罪の発生を予防するため、政策決定や平和維持活動の実施、危機管理、紛争防止、和解、復旧などなど平和努力のあらゆる段階に女性の平等参加を保証するよう圧力をかけること、それがハウザーさんのゆるぎない姿勢です。
(大竹秀子)
*モニカ・ハウザー(Monika Hauser) 婦人科医、ドイツのケルンを本拠地とする女性支援団体「メディカ・モンディアル」の創始者。「世界各地の最も危険な国々で、恐るべき性的暴力の被害者となった女性たちのためにたゆみなく献身し、そのような女性たちへの社会の理解と補償を求めて運動した」貢献により、2008年ライト・ライブリフッド賞を受賞。
第16号(2009.7.10)
良心を売り渡さない企業を求めた活動家 ザ・ボディショップの創設者アニータ・ロディック (2009.7.10)
翻訳:佐藤真喜子 字幕動画
アニータ・ロディックさんは、戦い続けた。環境保護運動家だったロディックさんは、1976年に動物実験を行わない化粧品を製造・販売する会社「ザ・ボディショップ」を英国で設立。全世界に広まる大企業に成長させました。だが、ビジネスのために環境を破壊し、弱者を犠牲にする他企業のありように黙っていられず、シェル石油やエクソン社など石油大手の環境破壊を激しく追及し続けました。2001年に収録されたこのインタビューからは、「年を取るとともにますます過激に」なったロディックさんの、「なぜ、家庭ではよき父、よき夫である人がビジネスになるとかくも平然と冷酷なことができるのか?」という、魂をしぼるような素朴な怒りと悲しみの声が聞こえてきます。良心を殺さずに働ける・運営できる企業を求め、また、生涯を通じて企業の市場独占の弊害を訴え、反戦や先住民運動や政治犯の支援などにもかかわり続け、企業の社会的責任の推進に向けて身をもって先例をしめしたロディックさんの激しい一生は、いまも私たちに力と勇気を与えてくれます。(大竹秀子)
*アニータ・ロディック(Anita Roddick)1976年、イギリスで天然原料のオリジナル化粧品を製造、販売する会社「ザ・ボディショップ」(The Bodyshop)を設立し、50カ国以上に2,000店以上の店舗を展開する大企業に成長させた。企業の中心的な価値に、地球環境にかかわる広範囲な問題の対策を支援する積極的な取り組みで知られ、化粧品製造における動物実験に反対し、人権擁護に積極的に取り組むなど、利益追求とは異なる価値観に基づいた「社会的企業」の先駆けとして世界をリードした。
第15号(2009.6.10)
ソマリア内戦につけこむ 各国黙認のもうひとつの海賊 (09.4.14放送)
翻訳:田中泉 字幕動画
弱体化した政府・崩壊した国家は、発展途上国、特にアフリカ諸国の住人に大きな苦難をもたらします。その良い例がソマリアで、なんと1991年以降、全土を実効的に支配する政府が存在しません。ソマリア沖合は、19世紀末のスエズ運河開通以来、ヨーロッパからインドや東南アジア方面に向かう航路として重要な位置を占め、またインド洋北部の栄養分豊かな深海からわき上がる流れを受けて世界有数の魚の宝庫といわれています。内戦と無政府状態が続き、外向的交渉能力がなくなったソマリアの苦境をくいものにして、ヨーロッパやアジアなど世界各国の漁船がソマリアの海で不法操業し、乱獲により水産資源を枯らしていると、ケニア在住のソマリア人アナリスト、モハメド・アブシール・ワルドーは語ります。おまけに、これらの漁船は置き土産として自国の産業廃棄物をソマリア領海に不法投棄して行くのです。中には、ヨーロッパの大企業がマフィアが絡む幽霊会社を使って、ソマリア暫定政府の大統領を買収し、ソマリア沖を有害廃棄物のゴミ捨て場にしている例もあります。ヨーロッパでの高額な汚染処理を考えれば、内戦で苦しむ発展途上国の腐敗した勢力者を買う費用など、はした金なのです。核廃棄物もみつかっています。漁獲面でも環境面でも、自分たちの海をさんざん荒らされ漁業を捨てた元漁民が、ソマリア沖の海賊誕生の背後に存在しているとワルドーは、訴えます。世界を危険な場にしているのは、語られないもうひとつの海賊行為でもあるのです。(大竹秀子)
*モハメド・アブシール・ワルドー(Mohamed Abshir Waldo) ケニア在住のソマリア人コンサルタント、アナリスト。
2009年1月に「ソマリア沖の2つの海賊行為 世界はなぜ片方を無視?」という論文を発表した。
第14号(2009.5.10)
アヴィ・シュライム教授がすっきり解説 いまからでもわかる「パレスチナ紛争」(09.1.14放送)
翻訳:田中泉 字幕動画
2009年1月14日、イスラエルによるガザ攻撃の最中に行われたインタビューです。イスラエル=アラブ問題を専門とする英国オックスフォード大学のアヴィ・シュライム教授が、現在の事態について、歴史を踏まえて説明します。複雑になりがちな「パレスチナ紛争」の経緯を、要点を押さえてわかりやすく説明してくれます。アラブ圏出身のユダヤ人であるシュライム教授は、60年代にはイスラエルを守るために兵士として従軍しましたが、占領地を支配するようになってからイスラエルは変質し、シオニズムは植民地支配の思想になってしまったと嘆きます。両民族の解放と権利を求める公平な視点から、長年にわたる紛争の流れを的確に解説し、解決への道を示唆します。パレスチナ問題は複雑すぎて、もう無理とあきらめていた皆さんに、ぜひ読んでいただきたい充実の入門編です。(大竹秀子)
*アヴィ・シュライム (Avi Shlaim) オックスフォード大学の国際関係学教授。イラク生まれのユダヤ人で、イスラエルと英国の二重国籍を持つ。イスラエル=アラブ紛争についての世界的権威の一人。1960年代半ば、イスラエル国防軍に従軍した経験を持つが、1967年以来、英国に在住。The Iron Wall: Israel and the Arab World(『鉄の壁 イスラエルとアラブ世界』)など、著書多数。
第13 号(2009.4.10)
誰のための人道か? 「命名の政治学」マフムード・マムダニが語るダルフール問題(07.6.4放送)
翻訳:大竹秀子 字幕動画
2年近く前に行われたインタビューですが、強靱な思想は時を超えています。ダルフール問題を論じる最近出版されたばかりの著書の中でマムダニ教授は、こう語ります。ルワンダの虐殺を止められなかった世界は、あの時、誤った教訓を得てしまった。何が起きているか、理解しようと時間をかけてはだめだ。知るより先に行動だ。ジェノサイドは待ってはくれない!だが、目の前で繰り広げられる惨事が、ジェノサイドだと決めるのは、誰なのか?そして、そう決める理由は?
ダルフールの暴力の被害者たちを救おうと運動する人たちは、アフリカ人とアラブ系という自分たちにわかりやすい区分で善玉と悪漢を色分けし、ひとつになるべきアフリカを切り裂きます。また、悪漢国家あるいは破綻したダメな国家を罰し、なすすべもない無力なアフリカの人々を保護するモラルにあふれた欧米国家という図式を演じてアフリカを骨抜きにし、依存を強います。誰のための人道か?アフリカをひとつにし、独立させること。そのためには、「救い主」の発想ではなく「生き延びようとする人たち」の目線で、問題を形づくっている複雑な要素をときほぐし、処罰を急ぐより、長続きする解決を 地道に探すべきなのです。ジェノサイドと命名することで何が動き出し、何が失われるのか?マムダニ教授の声に耳を傾けましょう。(大竹秀子)
* マフムード・マムダニ(Mahmood Mamdani) • ウガンダ出身のコロンビア大学教授。アフリカ研究では世界的権威の一人。2007年『ロンドン・レビュー・オブ・ブックス』に「命名のポリティクス ジェノサイド 内戦 反乱」という記事を載せ、米国におけるダルフール問題へのアプローチを過激に再検討。先入観を崩し、建設的紛争解決に役立つ理解に向けて多大な貢献をした『良いムスリムと悪いムスリム 米国と冷戦とテロの根源』など、著書多数。再近著は、Saviors and Survivors: Darfur, Politics, and the War on Terror(『救済者と生存者:ダルフール、政治、そしてテロとの戦い』)
第12号 (2009.3.25)
エイモリー・ロビンス: 幻だった原発ルネッサンス(08.7.16放送)
翻訳:桜井まり子 字幕動画
原子力をクリーンで環境に優しい(!!)エネルギーとして売り込もうとしたブッシュ前米政権。今号のニュースレターでは、「欧米きってのエネルギー問題の提言者」エイモリ-・ロビンスが、米国でのでっちあげられた「原発ルネッサンス」の嘘を徹底的にあばきます。原発反対というと安全性への懸念を基軸にしたアプローチが多い中、ロビンスの戦略は異色。市場の論理を徹底的に駆使してエネルギー/環境問題解決に迫ります。
巨額の建設費と開発に長い年月がかかる原発より、エネルギー効率が良く環境にも優しいマイクロ発電の方がずっとお得ですよ、最果ての北極圏まで石油を探しに行くよりもデトロイトで省エネ車を開発する方がお得ですよ─「儲かる省エネ・儲かるグリーン」といわれれば、政府も企業も喜んで耳を貸す! 徹底的なプラグマティストのようでいて、環境に優しい産業が支配する新しい時代への理念をけして外さない。グリーンな米国をめざす「試掘師」として、注目の人です。(大竹秀子)
*エイモリー・ロビンス (Amory Lovins) コロラド州のNPO「ロッキーマウンテン研究所」の代表。1982年に同研究所を共同設立し、エネルギー・資源問題に関する旺盛な執筆活動をしている。世界8カ国の政府、米国の20の州政府にエネルギー政策を提言してきた。膨大な著作があり、『ソフト・エネルギー・パスから永続的な平和への道』、『ブリトルパワーから現代社会の脆弱性とエネルギー』、『スモール・イズ・プロフィタブル―分散型エネルギーが生む新しい利益』などが邦訳されている。
第11号 (2009.3.10)
ローレンス・レッシグ: ネットの中立性を守れ!(08.4.17放送)
翻訳:駒宮俊友 字幕動画
3月のニュースレターは、2号を使い、インターネットとエネルギーという私たちの暮らしにとって重要なふたつの「資源」に関する問題を取り上げます。まず今号は、インターネットから。スタンフォード大学の法学教授ローレンス・レッシグの登場です。サイバー法の専門家として、世界の第一人者である教授は、著作権の拡大に対する批判で特に高名です。
教授は、著作権の過剰保護により、文化の発展がごく少数の人間にコントロールされかねない現状に対抗しようと、「クリエイティブ・コモンズ」プロジェクトを創立。インターネット利用者が、自分たちの作品を了解のもとに共有したり、自由に共作できる環境を促進するのに役立つ単純明快なルールを提唱しています。
利用者主導、民主主義と表現の自由への新しい可能性を開く画期的なコミュニケーションツールとして登場し、情報の流れに風穴を開けたインターネット。だが、その産業化が進むにつれ、電話会社やケーブル会社など、情報を流す土台となるネットワーク所有業者が、新技術を駆使して、自分たちの利益のため、流せる情報をひそかに規制して利用者のネット活動を管理し、権利を侵害しようとしています。
2008年4月17日にスタンフォード大学で開かれた米連邦通信委員会の公聴会を機に行われたこのインタビューで、レッシグはそのような現状に警鐘を鳴らし、「ネットの中立性」、すなわち、ネットワークに悪影響を及ぼさない限り、利用者はあらゆる合法的コンテンツと選択するすべてのオンラインサービスにアクセスする権利を持つべきであるというインターネットの基本原則をわかりやすく解説します。(大竹秀子)
* ローレンス・レッシグ(Lawrence Lessig) スタンフォード大学ロー・スクール教授で、同大学のインターネット社会研究所の設立者兼共同ディレクター。サイバー法に関し、世界的第一人者である。「クリエイティブ・コモンズ」プロジェクト代表。最近「チェンジ・コングレス」というプロジェクトも開始した。日本語翻訳書も、『CODE─インターネットの合法・違法・プライバシ『Free Culture─いかに巨大メディアが法をつかって創造性や文化をコントロールするか』など、多数出版されている。
第10号 (2009.2.28)
スラヴォイ・ジジェクとの対話: Part 2 自滅する資本主義─正しい「問い」はどこに?(08.5.12放送)
翻訳:大竹秀子 字幕動画
現代思想界のスーパースター、スラヴォイ・ジジェクとの対話「パート2」です。イラク戦争前に英国や米国で史上最大の盛り上がりを見せた市民の反戦運動。それがなぜ、開戦をとめられなかったのか──不安定さの上に繁栄える無敵な現代資本主義のしたたかな構造を明らかにしつつ、その限界を指摘し、資本主義の「自滅」がもたらす暗い未来をくいとめるため、いまこそ正しい「問い」が必要だと語ります。情熱にかられ、話し出したら、もう止まらない!独特な「ジジェク節」を、読んで見て聞いてお楽しみください。(大竹秀子)
* スラヴォイ・ジジェク(Slavoj Žižek) スロベニア出身の哲学者、精神分析家、思想家。50冊を超える著書がある。日本語翻訳書も、『ラカンはこう読め』、『イデオロギーの崇高な対象』、『汝の症候を楽しめ─ハリウッドvsラカン』、『快楽の転移』など多数。
第9号 (2009.2.10)
スラヴォイ・ジジェクとの対話: Part 1 「人間の顔をした社会主義」から「人間の顔をしたグローバルな資本主義」へ (08.3.11放送)
翻訳:大竹秀子
デモクラシーナウ!の魅力のひとつは、高名な知識人や、インスピレーションと活力を与えてくれる“活動家”たちの声と姿を、目にし、耳にする機会を与えてくれることです。せっかちに、独特のユーモアをまじえて語る現代思想界のスーパースター、スラヴォイ・ジジェクとの対話を、読んで、見て、聞いて、2号にわたりお楽しみください。パート1にあたる今号で、ジジェクは、40年前、「人間の顔をした社会主義」の可能性が一瞬開いたかに見えた1968年を振り返り、「人間の顔をしたグローバルな資本主義」を掲げる現代の左翼に、本当にそれで良いのか?と、苦渋に満ちた問いを投げかけます。(大竹秀子)
* スラヴォイ・ジジェク(Slavoj Žižek) スロベニア出身の哲学者、精神分析家、思想家。50冊を超える著書がある。日本語翻訳書も、『ラカンはこう読め』、『イデオロギーの崇高な対象』、『汝の症候を楽しめ──ハリウッドvsラカン』、『快楽の転移』など、多数。
第8号 (2009.1.10) 特別配信 動画ページからダウンロード可
ガザのゲルニカ イスラエルによる空爆で300人以上が死亡 (08.12.29放送)
翻訳:田中泉 字幕付き動画
世界中の抗議の声を尻目に、イスラエルはガザ攻撃を続けています。数カ月間におよぶ封鎖によってガザの市民生活を完全に麻痺させた上に加えられたイスラエルの猛攻撃は、1948年以来で最も凄惨なものと言われています。エフード・バラク国防相は「ハマスとの全面戦争」を宣言し、ガザ地区へのジャーナリストや一般市民の立ち入りを禁じて、150万人のガザ住民を孤立させています。医療品も食糧も電気も燃料も尽きたいま、ガザはまさに地獄と化しています。
「デモクラシー・ナウ!」では2008年12月29日に、ガザ地区からガザ市のムーサ・エルハッダートとラファのフィーダ・キシュタの2人、西岸地区ラマッラーからは大統領候補として出馬したこともある民主派独立系議員ムスタファ・バルグーティ、イスラエルからはテルアビブ在住のハアレツ紙記者ギデオン・レビ、米国からはエレクトリック・インティファーダ共同設立者のアリ・アブニマーと、さまざまな人々を招き、現状分析を聞きました。
そこから見えてくるのは、米国や日本のメディアが伝えている「ガザから発射されるロケット弾に対する正当な自衛権行使」というイスラエルの主張とは、まったく逆の物語です。1時間弱の番組には、歴史的な背景をふまえて現状を包括的に理解する重要な視点が網羅されています。特に、以下の点に注意してゲストたちの証言を読んでください。(中野真紀子)
• ガザとはどんなところか?
• イスラエル軍は何を攻撃しているのか?
• イスラエルによる封鎖はガザの生活にどんな効果をもたらしたか
• 「過激派ハマスが停戦を破った」?
• このタイミングでイスラエルが軍事攻撃に踏み切った理由は?
• オバマ次期米大統領の姿勢は?
• パレスチナ自治政府アッバース大統領は誰の味方か?
• ハマスのロケット弾攻撃は、この事態を正当化するか?
• パレスチナの人々は今なにを求めているか?
第7号 (2009.1.10)
現代アメリカの危険な"食"事情: マイケル・ポーランの「食を守れ──食べる人宣言」(08.2.13放送)
翻訳:斉木裕明 字幕動画
今回は「食」が、テーマ。大多数のアメリカ人が食べているのは、食べられる工業製品にすぎない! そんな恐ろしくも大胆な「真実」をつきつけるゲストは、注目のジャーナリスト、マイケル・ポーランさんです。米国ではヘルシー・ダイエットへの関心が高いのに、肥満化が進み、人々は健康をそこねています。ポーランさんは、そんな「食」の危機の元兇は、食品産業と栄養学主義だと指摘します。
自然のままで、十分滋養に満ちた食品。だが、そのまま売っても儲けが少ない。精製など加工の過程が多いほど、高く売れます。加工食の開発を推進したい食品産業の突破口になったのが、70年代末以来の栄養学主義でした。食品はそれを構成する化学的な栄養素の集まりだと考えて、栄養素を足したり引いたりすれば複雑な加工製品を作ることができ、開発や製造に手間をかければかけるほど高く売れます。こうやって、いかにも健康に良さそうに売り込まれる加工食品がいまでは市場を支配するようになったのですが、困ったことにこの栄養素中心の健康科学、実はほとんどがまやかしだとポーランさんは批判します。
食品も人間も科学で解明するにはあまりにも複雑。栄養素をどういう組み合わせでどういう順番で体に取り入れれば健康に役立つのか、食べる人の体質や住む土地、生活形態によって健康に必要な栄養素がどう異なるのかなどなど、実は科学的にはほとんど解明されていません。それなのに、食品業界は巨大な圧力をかけて、不都合な論議を政治や立法の世界から遠ざけ、都合の良い理論をごり押ししています。従来、人々はその土地に合った、健康に良い食物がごく自然に身体に取り込まれる「食」の文化を作り、守ってきました。でも、現代の農業政策や市場流通システム、食品加工業の攻勢により、このような「食」の文化は、力を失いつつあります。おかげで、哀れな消費者は根拠があやしげな「科学」の言葉にまどわされ、「ねずみが見向きもしない」ほど、栄養素を失った、あるいは健康に良くない加工食品をありがたがって食べるはめに!
コアラのようにユーカリだけ食べて生きる動物とは違い、雑食動物である人間は、健康を維持する安全な食べ物を本能で見分けることができません。仕方がない(?)ので頭を使うのですが、合理的に判断するために役立つはずの情報が、ゆがめられている! 有害な「食べ物もどき」がまぎらわしく並ぶ、スーパーマーケットという危険をはらんだジャングルで、おばあちゃんの時代の人たちが親しんでいたほんものの「食べ物」をうまく嗅ぎわけらることができるか?‐‐現代の食物採集者にとっては、毎日が冒険です。(大竹秀子)
* マイケル・ポーラン(Michael Pollan) カリフォルニア州立大学バークレー校の科学環境ジャーナリズム教授。 最新書はIn Defense of Food: An Eater's Manifesto(『食を守れ─食べる人宣言』)。前著The Omnivore's Dilemma: A Natural History of Four Meals(『雑食動物のジレンマ 4つの食事の成分を追う』)は、ニューヨークタイムズ紙ならびにワシントンポスト紙の2006年ベスト10冊に選ばれた。日本語翻訳書に、『ガーデニングに心満つる日』、『欲望の植物誌‐人をあやつる4つの植物』がある。
第6号 (2008.12.10)
「あれから40年」タリク・アリが語る 社会正義を求めて世界が燃えた日々(08.5.29放送)
翻訳:桜井まり子 字幕付き動画
「あれから40年」シリーズは、Democracy Now!が2008年に力をそそいだ卓抜な特集のひとつ。激動の年1968年を「20世紀の歴史を左右した、おそらくもっとも重要な年」と位置づけ、さまざまな角度から検証します。ゲストのタリク・アリは、パキスタン生まれ、英国在住のアクティビスト、ジャーナリスト、作家。1968年、ベトナム戦争のさなか、若き日のアリは、ベトナムで戦う市民への連帯を表明するため、ロンドンの米国大使館への突入を企画し、騎馬警官隊と衝突。後にグロヴナー広場の騒乱として知られるようになった市民抗議行動のリーダーでした。
40年前、ベトナム国民の独立への悲願を理解せず、冷戦のロジックでベトナムを管理しようとする米国の物量作戦に対し、決死の覚悟で叛乱を繰り返すベトナム人たちの姿は、自由と解放を求める戦いの象徴として、世界の若者たちに勇気と怒り、社会正義を求める行動への意欲を与えました。ベトナムでのテト攻勢に始まった「叛乱」は、アリたちによりロンドンに飛び火し、パリ、ニューヨークなどにも火がつきます。
ミック・ジャガーも参加したロンドンでの騒乱はもちろん、パリの5月革命の学生と労働者との共闘が生き生きと語られるのが、今回のトークの魅力ですが、あわせて、西側のメジャーなメディアでは注目されることなく、ほとんど忘れられてきた、メキシコとパキスタンでの市民運動に関する証言は、特に貴重です。日本も含め西側諸国では、過去のできごととして風化し、さもなければ懐かしい思い出話として扱われがちな40年前の市民たちの「闘いの日々」は、メキシコやパキスタンで、いまなお、現在進行形です。
40年間、自由と解放を求める市民の戦いを行動や言論で率い、次世代の若者に生きた遺産を残そうとするアリの熱い声に耳を傾けましょう。(大竹秀子)
* タリク・アリ(Tariq Ali) 英領インド(現パキスタン)に生まれ、イギリスで教育を受けた著名な評論家、作家、活動家。『ニューレフト・レビュー』の編集者の1人。60年代の回想録Street Fighting Years: An Autobiography of the Sixties(『ストリート・ファイティングの日々 わたしの60年代』)をはじめ著書多数<
第5号 (2008.11.25)
ナオミ・クライン「火事場泥棒の資本主義」を検証 2 オバマの経済政策、食糧危機、中国五輪(08.7.15放送
翻訳:大竹秀子 字幕動画
大きな社会的危機に乗じて人々の不安をあおり、うろたえた民衆が一時的に判断力を失ったすきに、企業利益優先の政策を一気に実現する火事場泥棒の資本主義。この一年のさまざまな危機に対しブッシュ政権がどのように対処してきたかを検証し、ナオミ・クラインが「ショックドクトリン」の応用例を鮮やかに解き明かします。
パート2は、オバマ次期大統領の背景にあるシカゴ経済学派とのつながり、世界的な食糧危機に対する解決策として盛んに宣伝された「遺伝子組み換え種子の導入による穀物増産」のうそ、五輪景気にわいた中国でテロ防止のためと称して米国企業が売り込んだハイテク監視システムが非民主的な北京政権にどのように利用されるのか、という話題を中心に展開します。(中野)
* ナオミ・クライン (Naomi Klein) カナダの有名ジャーナリスト、活動家。2000年に出版した『ブランドなんか、いらない』は、企業中心のグローバリゼーションへの抵抗運動のマニフェストとしてベストセラーになった。昨年9月に出版された話題作The Shock Doctrine: The Rise of Disaster Capitalis(『ショックドクトリン 惨事活用資本主義の台頭』)は、25カ国語に訳されている。
関連動画(字幕付き)
・2007.09.17 『ショックドクトリン』ナオミ・クライン新著を語る
・2008.11.11 金融救済で暴利をむさぼるのは誰か? 3兆ドルの強盗現場
第4号 (2008.11.10)
ナオミ・クライン「火事場泥棒の資本主義」を検証 1 石油利権の"ショックドクトリン"応用(08.7.15放送)
翻訳:大竹秀子 字幕動画
ついに破綻を迎えた市場原理主義。しかしブッシュ政権は実体経済の窮状はほったらかして、7千億ドルの金融救済策を通じて最後の国庫略奪と、分け前の分配にいそしんでいるようです。昨年の話題作『ショックドクトリン』で、ますます鋭く新自由主義に切り込んだナオミ・クラインの視点は、「危機」が世界的に広がっているいまこそ、真剣に検討する価値があります。
気候変動、石油高騰、食糧高騰、金融システム破綻と、この一年は次から次へと世界的な危機が襲いかかり、人々の不安をかきたてました。それらの危機に対処するためとして米国を中心とする主要諸国が打ち出してきた規制緩和を主軸とするネオリベ路線の解決策は、問題をすりかえるばかりで根本的な解決には程遠いものが目立つようです。
たとえば石油価格高騰に対処する決め手として、ブッシュ大統領が推進している石油採掘規制の緩和は、大陸棚や北極圏野生生物保護区での石油採掘や、タールサンドの利用など環境に有害な資源利用を認可するものです。石油の対外依存を減らしガソリン価格を引き下げるためと説明されていますが、ほんとうでしょうか?クラインによれば、実際にこの政策がもたらすのは、大手石油企業の市場支配の強化と高価格の維持です。
人々の大きな社会的危機に乗じて人々の不安をあおり、うろたえた民衆が一時的に判断力を失ったすきに、大多数の国民が反対する企業利益優先の政策を強引に押し進めるという「ショックドクトリン」が、この一年のさまざまな危機に対する米国政府の対処にどのように応用されているのか、クラインは鮮やかに解き明かします。この先さらに深刻な不況が待ち構えているという予感が世界中に広まる中、これ以上の大企業による収奪を許さないために、クラインの警告に耳を傾けましょう。
今月後半に配信するパート2は、オバマ次期大統領のシカゴ学派とのつながりや、中国五輪の陰で非民主的な北京政権に米国企業が売り込んだテロ監視システムなどについての話題です。(中野)
* ナオミ・クライン (Naomi Klein) カナダの有名ジャーナリスト、活動家。2000年に出版した『ブランドなんか、いらない』は、企業中心のグローバリゼーションへの抵抗運動のマニフェストとしてベストセラーになった。昨年9月に出版された話題作The Shock Doctrine: The Rise of Disaster Capitalism (『ショックドクトリン 惨事活用資本主義の台頭』)は、25カ国語に訳されている。
関連動画(字幕付き)
・2007.09.17 『ショックドクトリン』ナオミ・クライン新著を語る
・2007.07.06 イラク石油法は「強盗行為」 石油労働者組合の創始者が語る
第3号(2008.10.25)
チョムスキーとジン、異例の共同インタビュー 2 市民的不服従のすすめ(07.4.17放送)
翻訳:川上奈緒子 字幕つき動画
ボストン発のデモクラシー・ナウ!の特別配信の第二弾です。アメリカ独立戦争が始まったレキシントンの戦いを記念して、マサチューセッツ州では4月16日が「愛国記念日」という祝日です。この日、ボストンに住む反戦運動の大御所ノーム・チョムスキーとハワード・ジンが、ふたりそろってインタビューに応じるという豪華な企画が実現しました。2日目(17日)の放送では、大学における言論弾圧の問題から発展して、国家が誤っているときには、その命令に従わない権利があるという「市民的不服従」の考え方をいま一度、心にたたむべきだとハワード・ジンが強く勧めます。
この考えを提唱した19世紀の思想家ヘンリー・デーヴィッド・ソローは、アメリカ=メキシコ戦争に反対して納税拒否による抵抗を貫き、投獄されることも辞さなかった人物です。その時の体験から、ソローは後に「市民的不服従」の考えを示した古典的な論考を発表しました。政府が間違っていると信じる時には、税金を支払わないこと、兵役を拒否すること、政府の命令に従わないことは市民の権利であり、りっぱで正しい行ないであるという主張です。
また前段では、ハワード・ジンが1963年まで教えたスピルマン・カレッジでの経験が語られます。公民権運動が盛り上がった1960年代に、黒人女性の高等教育機関として創設されたこの学校ですごした7年間はジンにとって決定的な体験だったらしく、生徒たちから学んだことは、なによりも大きいと彼は語っています。彼の教え子には、マリアム・ライト・エーデルマンやアリス・ウォーカーがいたようです。(中野)
*ノーム・チョムスキー (Noam Chomsky) マサチューセッツ工科大学教授。言語学者としては1950年代に生成文法の提唱で言語学に革命をもたらしたことで有名だが、60年代にベトナム戦争に反対して政治活動に乗り出し、社会思想家、政治活動家としても合衆国の左派を代表する人物の一人となった。
*ハワード・ジン (Howard Zinn) ボストン大学名誉教授。アメリカで最も読まれている歴史学者。古典的名著『民衆のアメリカ史』は150万部を売り、アメリカの歴史教育を変えたといわれる。
第2号 (2008.10.10)
チョムスキーとジン、異例の共同インタビュー 1 ベトナムからイラクへ(07.4.16放送)
翻訳:佐藤真喜子 字幕付き動画
ボストン発のデモクラシー・ナウ!の特別配信です。アメリカ独立戦争が始まったレキシントンの戦いを記念して、マサチューセッツ州では4月16日が「愛国記念日」という祝日です。この日、ボストンに住む反戦運動の大御所ノーム・チョムスキーとハワード・ジンが、ふたりそろってインタビューに応じるという豪華な企画が実現しました。2日間に分けて放送された共同インタビューの第一弾では、ベトナム戦争とイラク戦争の比較、ならびにイスラエル=パレスチナ問題が語られます。長年アメリカの市民運動にかかわり続けた二人ならではの、重みのある発言です。
番組中に語られるように、二人とも60年代末に北ベトナムやインドシナを訪れたことがあり、現地での見聞をもとに、当時のマスコミが伝えなかった事実を伝えました。チョムスキーの著作には、北ベトナムへの爆撃を停止した米国が、じつはひそかに隣国のラオスやカンボジアを空爆し、CIAが現地で雇った傭兵を使って地上戦も行なっていたこと、カンボジアに空前の爆撃を行い農村社会を壊滅させたことが、後のポル・ポト派によるジェノサイドの下地を整えたことが克明に語られてます。
北ベトナムへの攻撃ばかりが抗議の対象になっていましたが、実際にアメリカが最も激しく破壊したのは南ベトナムの農村でした。国際社会に声を持たない南の農村社会をやりたい放題に攻撃しながら、アメリカは共産主義勢力の侵略から南を救うのだと主張していました。撤退すれば内乱や大惨事が起こるとして何年も居座り、その間に数万人の米兵と百万人のベトナム人が無駄に命を落としました。この論調は現在のイラク戦争に対するものと酷似しています。
ベトナム戦争を最終的に終結させたのは、キッシンジャーのような政治家ではなく国民の反抗だったと、ジンは指摘します。特に軍隊内部では士気の低下が著しく、兵士が上官を爆殺することがはやったそうです。兵士の反抗が占領軍を維持することを不可能にしたのだとジンは言います。イラクにおいても撤退を実現させるのは国民の声でしょうが、開戦前に世界的な盛り上がりをみせた反戦運動も、急速にしぼんでしまいました。それでも現在の反戦の声は、ベトナム戦争の当時に比べればずっと強いのだと、二人は言います。(中野)
*ノーム・チョムスキー (Noam Chomsky) マサチューセッツ工科大学教授。言語学者としては1950年代に生成文法の提唱で言語学に革命をもたらしたことで有名だが、60年代にベトナム戦争に反対して政治活動に乗り出し、社会思想家、政治活動家としても合衆国の左派を代表する人物の一人となった。
*ハワード・ジン (Howard Zinn) ボストン大学名誉教授。アメリカで最も読まれている歴史学者。古典的名著『民衆のアメリカ史』は150万部を売り、アメリカの歴史教育を変えたといわれる。
第1号 (2008.9.10) 動画ページからダウンロード可
チリのベストセラー作家イサベル・アジェンデ 自らの半生、家族、ミシェル・バシュレ大統領、拷問、移民体験を語る(08.4.7放送)
翻訳:斉木裕明 字幕付き動画
1973年9月11日、チリ大統領府が空爆で炎上しました。民主的な選挙で選ばれた世界初のマルクス主義者国家元首、サルバドール・アジェンデ大統領は混乱の中で落命。反乱軍を率いたピノチェト将軍による、26年余りにわたる軍事独裁がはじまりました。米国の支援の下で、いわゆるシカゴ学派が主導する徹底的な自由主義経済の実験場となったチリでは、経済指標上の「奇跡の成長」の裏で、失業と貧困が急拡大しました。また軍政による過酷な弾圧で、2千人以上が「行方不明」になり、拷問被害者は3万人にのぼります。
ゲストのイサベル・アジェンデ氏は、アジェンデ大統領の従兄弟を父として生れ、ジャーナリストとしてテレビや雑誌で活躍しましたが、政変後ベネズエラへ亡命。1982年、激動の歴史に翻弄された家族の経験を幻想的な筆致で描く小説第一作『精霊たちの家』が世界的ベストセラーになると、次々にヒットを繰り出し、総販売部数が5千万部を超える人気作家になりました。
番組では、夭逝した長女の思い出を皮切りに、最新刊の回想録『私たちの日々すべて』(The Sum of Our Days: Memoir 邦訳未刊)にいたる自らの人生と創作、チリ初の女性大統領となったバシュレ大統領、貧しい女性への支援活動、移民、世界に拡大する拷問など広範な話題について語ります。
*イサベル・アジェンデ (Isabel Allende)公式ホームページ 主な邦訳著書 『精霊たちの家』 『パウラ、水泡(みなわ)なすもろき命』 『エバ・ルーナのお話』(すべて国書刊行会)
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