WEBVTT

00:00:00.000 --> 00:00:07.780
シリーズでお送りしている
「1968年 あれから４０年」です

00:00:07.790 --> 00:00:14.140
英国のタリク･アリ氏に
６８年の遺産について聞きます

00:00:14.150 --> 00:00:17.660
ベトナム戦争たけなわの６０年代

00:00:17.670 --> 00:00:24.049
英米の外交担当者との討論で
アリ氏の名は全国にとどろきました

00:00:24.049 --> 00:00:25.340
反戦を唱えて

00:00:25.350 --> 00:00:30.790
６８年ロンドンの米国大使館前
抗議デモを率いました

00:00:30.800 --> 00:00:37.030
革命新聞『黒色矮星』を通じ
マルコムＸやレノン夫妻など

00:00:37.040 --> 00:00:40.480
多くの重要人物と知り合い

00:00:40.490 --> 00:00:46.600
４０年後の今もずっと
米国の外交政策批判を続けています

00:00:46.610 --> 00:00:51.150
政治や歴史の著書に加え
小説や脚本もこなす

00:00:51.160 --> 00:00:54.880
『ニューレフト･レビュー』編集員

00:00:54.890 --> 00:00:59.520
回想録は『街頭デモの日々
わたしの６０年代』です

00:00:59.530 --> 00:01:03.400
タリク・アリさん ようこそ

00:01:03.410 --> 00:01:08.460
６８年は重大な出来事が
集中した年でした

00:01:08.470 --> 00:01:11.180
順に振り返ってみましょう

00:01:11.190 --> 00:01:15.880
まず当時の英国で
何が起きていたのか

00:01:15.890 --> 00:01:20.580
あなたが社会運動に
かかわったのは？

00:01:20.590 --> 00:01:28.230
６０年代後半の英国は
労働党内閣の時代でした

00:01:28.240 --> 00:01:31.870
この内閣は公約に反して

00:01:31.880 --> 00:01:36.070
米国の外交政策への支持を継続し

00:01:36.080 --> 00:01:45.810
国民の怒りをよそに
ベトナム戦争を支持したのです

00:01:45.820 --> 00:01:49.819
労働党支持者にも怒りが広がり

00:01:49.819 --> 00:01:56.010
私たちは「ベトナム連帯運動」を
設立しました

00:01:56.020 --> 00:01:59.370
今思えば この労働党政権は

00:01:59.380 --> 00:02:06.350
ベトナムへの派兵を強く求める
米国の圧力に屈しませんでした

00:02:06.360 --> 00:02:15.070
英国も西欧も 言葉では支持しても
実際の派兵はしませんでした

00:02:15.080 --> 00:02:22.460
同じ支持でも
イラク侵攻とは大きく違います

00:02:22.470 --> 00:02:27.290
ベトナムで米軍に加勢したのは
韓国とオーストラリアだけですね

00:02:27.300 --> 00:02:30.430
韓国とオーストラリアは派兵した

00:02:30.440 --> 00:02:36.270
でも西欧でベトナムに
派兵した国はありません

00:02:36.280 --> 00:02:41.100
冷戦のピークだったというのに
派兵しなかった

00:02:41.110 --> 00:02:45.000
ベトナム反戦運動は大きくなり

00:02:45.010 --> 00:02:51.840
英国では戦争支持の撤回を
政府に求めるようになりました

00:02:51.850 --> 00:02:59.770
この反戦運動には
英国のほとんどの政治家が

00:02:59.780 --> 00:03:05.400
支持を表明し
政府は孤立しました

00:03:05.410 --> 00:03:11.440
労働党議員も反戦に回り
ロックシンガーもデモに参加

00:03:11.450 --> 00:03:13.910
ミック･ジャガーは

00:03:13.920 --> 00:03:19.770
「ストリート･ファイティング
マン」という曲を書きました

00:03:19.780 --> 00:03:26.480
米国は最大の同盟国イギリスの
反対運動に当惑しました

00:03:26.490 --> 00:03:32.660
反戦派の大統領候補だった
民主党のマッカーシー議員は演説で

00:03:32.670 --> 00:03:37.330
「一番の友好国で
大使館が包囲されるなんて」

00:03:37.340 --> 00:03:41.110
「なんと情けない国だ」
と嘆きました

00:03:41.120 --> 00:03:46.080
私たちは運動の効果を実感し
喜んだものです

00:03:46.090 --> 00:03:51.710
あなたが率いた
大使館抗議デモとは？

00:03:51.720 --> 00:03:54.920
「テト攻勢」に刺激されたのです

00:03:54.930 --> 00:04:00.030
サイゴンの米大使館が
短時間ですが占拠された事件です

00:04:00.040 --> 00:04:05.530
占拠したベトナム人は皆殺しです
今で言う自爆攻撃かもしれない

00:04:05.540 --> 00:04:11.040
ベトナム人に連帯を示すには
何ができるかと考えて

00:04:11.050 --> 00:04:16.950
我々も米大使館を占拠して
ベトナムの旗を揚げることにした

00:04:16.960 --> 00:04:21.960
６７年１０月に実行し
ほとんど成功しかかった

00:04:21.970 --> 00:04:25.670
大使館も驚いたが
わたしたちも驚いた

00:04:25.680 --> 00:04:30.500
それで６８年３月に
もう一度やることになった

00:04:30.510 --> 00:04:37.890
しかし今度は警備が強化されて
騎馬警官隊と大きな衝突になった

00:04:37.900 --> 00:04:44.450
ミック･ジャガーが言うには
「我々も騎馬隊が必要だ」

00:04:44.460 --> 00:04:49.250
「騎馬戦を練習して
警官を蹴散らそう」

00:04:49.260 --> 00:04:52.370
この案は却下されました

00:04:52.380 --> 00:04:57.900
グロブナー広場の騒乱は
英国に衝撃を与えました

00:04:57.910 --> 00:05:01.360
人々は意表をつかれたのです

00:05:01.370 --> 00:05:05.053
まさに心情のほとばしりだった

00:05:05.053 --> 00:05:08.210
数カ月後フランスが続いた

00:05:08.220 --> 00:05:13.260
１千万人のフランス労働者が
ストライキを起こし

00:05:13.270 --> 00:05:17.470
運動の方向性を
がらりと変えました

00:05:17.480 --> 00:05:23.650
反戦運動から
社会運動へと深化したのです

00:05:23.660 --> 00:05:30.630
フランスの動乱の発祥地は
パリではなく

00:05:30.640 --> 00:05:36.130
パリ郊外の小さな大学で
３月に始まったそうですね

00:05:36.140 --> 00:05:42.580
若い視聴者のために
全体の経緯をお話しください

00:05:42.590 --> 00:05:46.600
国全体をマヒさせた運動は
数人の学生から始まった

00:05:46.610 --> 00:05:52.230
実に驚くべきことです
３月２２日パリ郊外の

00:05:52.240 --> 00:05:54.790
ナンテール大学で

00:05:54.800 --> 00:06:01.640
学生が居住環境の改善を求め
大学に抗議しました

00:06:01.650 --> 00:06:05.940
当局は過剰反応し
学生を叩きのめした

00:06:05.950 --> 00:06:11.820
これに抗議する「３.２２委員会」が
デモを呼びかけ

00:06:11.830 --> 00:06:16.250
５月１０日カルチェ･ラタンで
暴動が起きました

00:06:16.260 --> 00:06:20.820
３月２２日から２カ月で
大規模な衝突へと発展したのです

00:06:20.830 --> 00:06:28.070
ところでフランス人は
バリケード作りの名人です

00:06:28.080 --> 00:06:35.580
フランス革命以来の伝統で
本能的にバリケードができてしまう

00:06:35.590 --> 00:06:43.910
５月革命でもバリケードができ
フランスは完全に分裂状態でした

00:06:43.920 --> 00:06:48.470
労働者が学生に賛同して
工場ストを起こし

00:06:48.480 --> 00:06:53.320
６月初めにはスト参加者は
１千万人に膨れ上がり

00:06:53.330 --> 00:06:58.400
社会を自主運営したいと
工場を占拠しました

00:06:58.410 --> 00:07:06.470
ジャン=ポール･サルトルが
学生や労働者を激励し

00:07:06.480 --> 00:07:11.550
「想像力に権力を与えた」と
絶賛しました

00:07:11.560 --> 00:07:15.950
フランスの動乱は
欧州全体を動揺させ

00:07:15.960 --> 00:07:18.800
人々を不安にさせました

00:07:18.800 --> 00:07:25.160
学生が労働者と共闘した
いきさつは？

00:07:25.170 --> 00:07:28.930
どのように労働運動へと
拡大したのでしょう

00:07:28.940 --> 00:07:37.480
バリケードで闘う学生たちを見て
労働者が感化されたのです

00:07:37.490 --> 00:07:43.590
サイゴンの大使館占拠が
学生たちを感化したようにね

00:07:43.600 --> 00:07:47.090
カルチェ･ラタンを占拠した学生は

00:07:47.100 --> 00:07:52.340
ここを「英雄的ベトナム街」と
名づけました

00:07:52.350 --> 00:07:57.910
バリケードで闘う学生を
見た労働者たちは言った

00:07:57.920 --> 00:08:04.480
「ひよっ子でも国にたてついている
俺たちの方がよほど苦しいぞ」と

00:08:04.490 --> 00:08:11.700
徐々に若い労働者の代表が
学生たちに加わっていきました

00:08:11.710 --> 00:08:16.270
面白いのは
建設労働者が突然やって来て

00:08:16.280 --> 00:08:21.360
「バリケードはこうやるんだ」と
あっという間に積み上げて見せた

00:08:21.370 --> 00:08:26.240
こうして工場や組合に
影響が広まっていきました

00:08:26.250 --> 00:08:29.500
組合幹部たちは共産党でしたが

00:08:29.510 --> 00:08:35.560
労働者たちに無視され
まったく統制がききませんでした

00:08:35.570 --> 00:08:42.360
フランスの一般社会に
与えた影響は？

00:08:42.370 --> 00:08:47.350
当時の大統領は
第二次大戦の英雄ド･ゴールです

00:08:47.360 --> 00:08:51.060
この運動で政府は
どう変わりました？

00:08:51.070 --> 00:08:57.980
政府は大慌てでした
普段は尊大なド･ゴール大統領が

00:08:57.990 --> 00:09:04.090
国内の動乱に動揺し
「シオンリ」と言い放った

00:09:04.100 --> 00:09:06.840
「寝床に糞」つまりカオスです

00:09:06.850 --> 00:09:14.207
学生達はすかさず
「糞はお前だ」という大統領のポスターを

00:09:14.207 --> 00:09:16.310
街中に貼りました

00:09:16.320 --> 00:09:20.010
ゼネストの事態に
大統領はうろたえ

00:09:20.020 --> 00:09:25.200
ひそかにドイツ駐留のフランス軍に

00:09:25.210 --> 00:09:31.410
「パリ陥落の際は助けてくれるか」と
援軍を打診しました

00:09:31.420 --> 00:09:33.210
将軍の返事は

00:09:33.220 --> 00:09:39.980
「アルジェリアのクーデターで
収監された将校の釈放が条件だ」

00:09:39.990 --> 00:09:45.180
右派の将軍たちの釈放を
大統領は約束しました

00:09:45.190 --> 00:09:49.650
結局そうはならず
流血は避けられましたが

00:09:49.660 --> 00:09:54.050
政府の狼狽ぶりは
それほどだったのです

00:09:54.060 --> 00:10:00.380
フランスの記者は欧州各地で
「感染は拡大しそうか？」と聞かれました

00:10:00.390 --> 00:10:05.400
西欧の統治者たちはみな
びくびくしていました

00:10:05.410 --> 00:10:12.650
フランス社会への影響は？
労働者や学生の待遇には？

00:10:12.660 --> 00:10:16.820
効果は絶大でした

00:10:16.830 --> 00:10:24.770
次のポンピドー大統領は
賃金や労働条件の大幅改善を認め

00:10:24.780 --> 00:10:29.060
大学の環境も改善しました

00:10:29.070 --> 00:10:35.550
革命を恐れて労働者の要求を
大幅にのんだのです

00:10:35.560 --> 00:10:39.180
でも組合幹部が工場に来て

00:10:39.190 --> 00:10:43.340
「２５％の賃上げ獲得だ」と言うと

00:10:43.350 --> 00:10:46.480
「ふざけるな」と言われた

00:10:46.490 --> 00:10:49.630
「我々が欲しいのは工場だ」と

00:10:49.640 --> 00:10:56.880
たいていの人は気づいてませんが
この４０年間 フランスの支配層は

00:10:56.880 --> 00:11:03.113
６８年の成果を全部
ひっくり返そうとしてきましたね

00:11:03.113 --> 00:11:07.845
フランスの労働者は
甘やかされすぎだと

00:11:07.845 --> 00:11:11.650
欧州の資本家は常に見なしてきた

00:11:11.660 --> 00:11:17.285
サルコジ大統領は就任時に言いました

00:11:17.285 --> 00:11:22.250
「私が５月革命にとどめを刺す」

00:11:22.260 --> 00:11:25.410
「その遺産を永遠に葬ってやる」

00:11:25.420 --> 00:11:29.040
しかし現実は正反対です

00:11:29.050 --> 00:11:35.650
１年後の彼の支持率はどん底で
シラク大統領より不人気です

00:11:35.660 --> 00:11:41.480
ちょうど今もフランスでは
公務員ストが行われています

00:11:41.490 --> 00:11:46.250
1968年のチェコに移りましょう

00:11:46.260 --> 00:11:55.550
フランスの動乱はチェコにも波及し
ソビエト連邦との対立を招きました

00:11:55.560 --> 00:12:00.320
いわゆる「プラハの春」は
大きな希望だったと

00:12:00.330 --> 00:12:03.230
私はずっと思ってきました

00:12:03.240 --> 00:12:08.890
チェコ共産党の改革派が
目指したのは

00:12:08.900 --> 00:12:12.940
民主的な社会主義の国だったからです

00:12:12.950 --> 00:12:18.500
「人間の顔をした社会主義」と
改革派指導者ドプチェクは言った

00:12:18.510 --> 00:12:24.040
この改革によって
チェコの新聞やテレビには

00:12:24.050 --> 00:12:28.840
すばらしい言論環境が
育っていました

00:12:28.850 --> 00:12:32.820
国営なのに
欧州でいちばん自由でした

00:12:32.830 --> 00:12:38.230
ジャーナリストが実権を握り
報道機関を改革しました

00:12:38.240 --> 00:12:42.080
ゴールデンアワーの番組に
獄中の政治犯が登場し

00:12:42.090 --> 00:12:44.830
「なぜ拷問したのか」と
政府に詰め寄り

00:12:44.840 --> 00:12:50.260
国全体が政治に関心を持ちました

00:12:50.270 --> 00:12:59.330
この危険な感染症の
拡大を恐れたソ連は

00:12:59.340 --> 00:13:05.510
チェコに軍事侵攻しました
NATOはたいした非難もせず－

00:13:05.520 --> 00:13:09.090
戦車で乗り込んだのは
何月ですか？

00:13:09.100 --> 00:13:11.730
６８年８月２１日です

00:13:11.740 --> 00:13:19.240
ワルシャワ条約機構軍の戦車が
チェコに侵攻し改革運動を潰した

00:13:19.250 --> 00:13:25.110
それが自分の首も絞めると
彼らは気がつかなかった

00:13:25.120 --> 00:13:30.310
強制収容所を題材にした小説で
ノーベル賞を受賞した

00:13:30.320 --> 00:13:32.910
ソルジェニーツィン氏は

00:13:32.920 --> 00:13:40.460
「完全に祖国を見限ったのは
いつですか」と聞かれ

00:13:40.470 --> 00:13:44.600
「６８年８月２１日」と
答えています

00:13:44.610 --> 00:13:51.380
「チェコの改革に介入し
人々の願いを阻止したときに」

00:13:51.390 --> 00:13:58.380
「この体制は終わりだと感じた」
と言っています

00:13:58.390 --> 00:14:00.800
でも西側諸国は冷ややかでした

00:14:00.810 --> 00:14:05.060
「人間の顔をした社会主義」は
ありがたくなかったのです

00:14:05.070 --> 00:14:10.780
チェコの改革が成功していたら
西欧史は違っていたかもしれません

00:14:10.790 --> 00:14:15.630
社会主義で かつ民主的な政府は
いまだ存在しませんが

00:14:15.640 --> 00:14:21.990
この２つが両立する
可能性はあったのです

00:14:22.000 --> 00:14:26.840
実現していれば
今の世界は違っていたでしょう

00:14:26.850 --> 00:14:31.620
政治活動家で小説家でもある
タリク･アリ氏がゲストです

00:14:31.630 --> 00:14:37.350
回想録は『街頭デモの日々
わたしの６０年代』です

00:16:56.090 --> 00:16:59.370
『ストリート･ファイティングマン』
ローリング・ストーンズでした

00:16:59.380 --> 00:17:05.240
政治活動家で歴史家でもある
タリク･アリ氏をお迎えしています

00:17:05.250 --> 00:17:09.300
回想録『街頭デモの日々
わたしの６０年代』の著者です

00:17:09.310 --> 00:17:13.910
ガーディアン紙に寄稿した
「あの憤激はどこに行った？」で

00:17:13.920 --> 00:17:16.210
６８年を振り返っています

00:17:16.220 --> 00:17:24.570
英国 フランス チェコの動乱を
語ってきましたが

00:17:24.580 --> 00:17:28.380
動乱が起きたのは欧米だけではなく

00:17:28.390 --> 00:17:34.580
第三世界でも広い地域で
驚くべき運動が起きていました

00:17:34.590 --> 00:17:39.990
そのほとんどは
忘れられています

00:17:40.000 --> 00:17:42.090
ええ本当にひどい

00:17:42.100 --> 00:17:46.750
６８年がノスタルジーに
なっている証拠です

00:17:46.760 --> 00:17:51.760
人々が記憶したいのは
当時の自分の思い出だけ

00:17:51.770 --> 00:17:58.440
第三世界の出来事で大きかったのは
メキシコの学生蜂起です

00:17:58.450 --> 00:18:02.780
６８年はメキシコ五輪の年でした

00:18:02.790 --> 00:18:07.540
メキシコの学生たちは
民主化を求めて

00:18:07.550 --> 00:18:10.650
一党独裁的な体制に抗議した

00:18:10.660 --> 00:18:19.320
政府は暴力による鎮圧を選び
大規模な虐殺を行いました

00:18:19.330 --> 00:18:23.130
死者が数百人
負傷者は数千人です

00:18:23.140 --> 00:18:31.010
オリンピック開幕の直前でしたが
西側からボイコットの声は出なかった

00:18:31.020 --> 00:18:37.590
メキシコの学生たちは
何を求めていたのですか？

00:18:37.600 --> 00:18:45.780
社会正義の実現　民主主義
民主的な権利

00:18:45.790 --> 00:18:51.350
腐敗した一党独裁を
終わらせることですね

00:18:51.360 --> 00:18:55.020
学生たちはそれを求めて
殺されました

00:18:55.030 --> 00:18:59.460
メキシコ五輪で
もっとも印象的な場面は

00:18:59.470 --> 00:19:04.320
メダルを獲得した２人の
米国の黒人選手が

00:19:04.330 --> 00:19:08.100
表彰台で見せた連帯表明でした

00:19:08.110 --> 00:19:14.500
誇りをもち 国を超えて
殺された学生への連帯を示すため

00:19:14.510 --> 00:19:21.740
こうべを垂れ
握りこぶしを高く掲げたのです

00:19:21.750 --> 00:19:30.960
黒人選手による連帯の印は
第三世界に広く放映されました

00:19:30.970 --> 00:19:36.210
メキシコでも
この事件の真相を明るみに出し

00:19:36.220 --> 00:19:44.330
過去の歴史を正す闘争が
歴代政権のもとで続けられています

00:19:44.340 --> 00:19:48.545
いまも闘いは続いています

00:19:48.545 --> 00:19:58.240
前回のメキシコ大統領選で
またもや不正選挙が行われました

00:19:58.250 --> 00:20:02.050
昔ほど大胆ではないにせよ

00:20:02.060 --> 00:20:08.310
ロペス・オブラドール候補を
落選させるには十分でした

00:20:08.320 --> 00:20:13.890
ロペス・オブラドールは
かつてないほど圧倒的な

00:20:13.900 --> 00:20:17.450
民衆の支持を得ていました

00:20:17.460 --> 00:20:22.150
まさに100万人が
首都の中心部に集まりました

00:20:22.160 --> 00:20:25.020
国中どこでも同じでした

00:20:25.030 --> 00:20:29.540
誰もがオブラドールの勝利を
信じていました

00:20:29.550 --> 00:20:33.760
しかしまたしても最後の瞬間に
不正が行われたのです

00:20:33.770 --> 00:20:41.090
ベネズエラのチャベス大統領には
犯罪がないかと逐一監視するのに

00:20:41.100 --> 00:20:44.400
メキシコの選挙には知らん顔だ

00:20:44.410 --> 00:20:49.730
西側寄りの政府が
八百長をやっていたからです

00:20:49.740 --> 00:20:55.310
それに加えてあなたの祖国
パキスタンでも動乱がありましたね

00:20:55.320 --> 00:20:58.480
ほとんど報道されませんでしたが

00:20:58.490 --> 00:21:05.930
「６８年は確かに闘争の年だったが
ことごとく敗北した」と言う人々は

00:21:05.940 --> 00:21:09.530
私の返答に驚きますよ

00:21:09.540 --> 00:21:15.730
「学生たちが軍事独裁を相手に
３カ月も戦った国がある」

00:21:15.740 --> 00:21:18.900
パキスタンのことです

00:21:18.910 --> 00:21:27.370
６８年１１月７日から
翌年３月１０日までの３カ月です

00:21:27.380 --> 00:21:34.210
その闘争は日増しに
大きくなっていきました

00:21:34.220 --> 00:21:38.360
労働者が参加し
ホワイトカラーも

00:21:38.370 --> 00:21:43.910
法律家や女性や判事までもが
デモに参加しました

00:21:43.920 --> 00:21:52.970
売春婦も組織化し
大きな社会闘争になったのです

00:21:52.980 --> 00:21:55.950
しかし死者も増えていった

00:21:55.960 --> 00:22:00.210
軍や警察に殺された数は
いまも不明です

00:22:00.220 --> 00:22:06.300
ついに鉄道労働者が
線路を外して抵抗した

00:22:06.310 --> 00:22:09.040
彼らの要求は単純でした

00:22:09.050 --> 00:22:15.960
独裁の終了と民主的な自由選挙
この２つです

00:22:15.970 --> 00:22:21.690
英米政府を後ろ盾にした
軍事独裁者アユーブ･カーンは

00:22:21.700 --> 00:22:23.990
強硬政策をとりましたが

00:22:23.990 --> 00:22:28.570
やがて継続できないと悟り
３月に退陣しました

00:22:28.580 --> 00:22:31.990
英米はなぜカーンに
肩入れを？

00:22:32.000 --> 00:22:39.620
米国政府はパキスタンの
軍政を好んだのです

00:22:39.630 --> 00:22:43.160
文民政治家は信頼しない

00:22:43.170 --> 00:22:49.882
パキスタンの３大独裁者は
みんな米国が後ろ盾です

00:22:49.882 --> 00:22:55.820
アユーブ･カーンが
権力を掌握したのは1958年です

00:22:55.820 --> 00:23:01.890
１０年後にやっと
学生の反乱で失脚したのです

00:23:01.900 --> 00:23:09.370
私も居合わせましたが
国中に歓喜がみなぎっていました

00:23:09.380 --> 00:23:14.860
人々は抱擁しあって祝いました

00:23:14.870 --> 00:23:21.140
この闘いに宗教はいっさい無縁で
完全に世俗の闘争でした

00:23:21.150 --> 00:23:31.050
この運動の基本的な要求は
「衣食住をすべての人に」でした

00:23:31.060 --> 00:23:36.450
６８年には女性運動も
大きな前進をとげましたね

00:23:36.460 --> 00:23:41.940
ムスリム社会でそんなことがと
驚く人も多いでしょうが

00:23:41.950 --> 00:23:46.390
６８年にはすでに
活発な女性運動がありました

00:23:46.400 --> 00:23:52.600
当時の東西パキスタンどちらにも
強力な女性団体がありました

00:23:52.610 --> 00:23:58.000
心をゆさぶられたのは
西パキスタンで学生が殺された時

00:23:58.010 --> 00:24:00.550
東パキスタン
今のバングラデシュで

00:24:00.560 --> 00:24:06.510
女性たちがスカーフを取り
裸足で町に繰り出し

00:24:06.520 --> 00:24:11.210
学生を追悼する行進をした事です

00:24:11.220 --> 00:24:13.421
忘れられがちですが

00:24:13.421 --> 00:24:18.720
女性運動はなぜ
「女性解放」と呼ばれるのか？

00:24:18.730 --> 00:24:21.740
「解放」はベトナムに由来します

00:24:21.750 --> 00:24:28.180
南ベトナム解放戦線です
自由を求める闘いに我々も続けと

00:24:28.190 --> 00:24:33.190
ゲイや女性や黒人が
解放運動を起こしました

00:24:33.200 --> 00:24:37.800
すべてベトナムの独立運動に
感化されたのです

00:24:37.810 --> 00:24:41.998
たぶんベトナム戦争による
最大の遺産は

00:24:41.998 --> 00:24:46.860
人種や性による差別の
解消が前進したことです

00:24:46.870 --> 00:24:51.570
女性の権利や
妊娠中絶の権利

00:24:51.580 --> 00:24:55.770
中絶や同性愛の合法化です

00:24:55.780 --> 00:25:03.350
同性愛は完全に弾圧されていました
今では忘れられていますが

00:25:03.360 --> 00:25:11.540
英国では６０年代初めまで
同性愛は犯罪だったのです

00:25:11.550 --> 00:25:18.540
見つかれば逮捕されたのです
私の友達も多く捕まりました

00:25:18.550 --> 00:25:21.874
今の若者には信じがたいでしょう

00:25:21.874 --> 00:25:28.678
６８年の運動は社会や政治に加え
性差別からの解放も目指しました

00:25:28.678 --> 00:25:30.660
忘れてはいけません

00:25:30.670 --> 00:25:37.340
女性やゲイの権利の多くは
ここから獲得されたのです

00:25:37.350 --> 00:25:43.780
宗教には無縁の運動でしたね
しかし現在のパキスタンでは

00:25:43.790 --> 00:25:51.400
宗教が大きく政治を左右しています
どんな変化があったのでしょう？

00:25:51.410 --> 00:25:54.980
私はそうは思いません

00:25:54.990 --> 00:26:02.440
前回のパキスタン総選挙で
宗教政党はほぼ壊滅しました

00:26:02.450 --> 00:26:07.760
確かに今のパキスタンでは
宗教性が前面にでていますが

00:26:07.770 --> 00:26:12.710
それは世界的現象です
米国もそうでしょう

00:26:12.720 --> 00:26:19.380
宗教政党がパキスタンを
支配しているわけではない

00:26:19.390 --> 00:26:24.733
ジハーディストはパキスタンを
乗っ取る寸前だとか

00:26:24.733 --> 00:26:29.409
核兵器を使う気だとか
そんな見方は誤りです

00:26:29.409 --> 00:26:33.220
2008年９月に出版予定の拙著で

00:26:33.230 --> 00:26:36.010
こうした通念が なぜ創られるのか

00:26:36.020 --> 00:26:39.640
どんな役割を担ったのかを
明らかにしました

00:26:39.650 --> 00:26:46.570
普通のパキスタン人はジハードにも
宗教政治にも関心がありません

00:26:46.580 --> 00:26:50.680
ごく一部の人たちのものです

00:26:50.690 --> 00:26:55.300
パキスタン人に必要なのは
衣食住や教育です

00:26:55.310 --> 00:27:00.690
こういう問題をどの政党も軍も
解決しようとしないのです

00:27:00.700 --> 00:27:07.620
宗教に向かう人は減っている
驚きですが 本当のことです

00:27:07.630 --> 00:27:15.699
さて 「あの憤激はどこに行ったのか」？
あなたが記事に書いたように

00:27:15.699 --> 00:27:21.341
６０～７０年代初めに
世界各地で起きた蜂起は

00:27:21.341 --> 00:27:23.670
もう見かけませんね

00:27:23.680 --> 00:27:29.570
今とは時代が違うのでしょう
あれは戦争と革命の時代でした

00:27:29.580 --> 00:27:35.990
多数の革命が起きました
キューバ革命は1959年です

00:27:36.000 --> 00:27:39.863
時代の空気が違っていました

00:27:39.863 --> 00:27:47.590
今あるのは 大きな敗北の後で
運動を蘇生する試みです

00:27:47.600 --> 00:27:54.520
2003年のイラク反戦デモは
とてつもない規模でした

00:27:54.530 --> 00:28:01.450
６０年代の欧米のどの運動より
大きかった

00:28:01.460 --> 00:28:07.560
でも続かなかった
すぐに消えてしまった

00:28:07.570 --> 00:28:13.510
一時は民衆が大挙して
政治家に迫っているかに見えた

00:28:13.520 --> 00:28:18.030
「君らは嘘をついている
戦争には行かないよ」と

00:28:18.040 --> 00:28:25.370
しかしイラクが侵略された後は
落胆と無力感が広がり

00:28:25.380 --> 00:28:28.490
運動は退潮しました

00:28:28.500 --> 00:28:33.120
６８年の運動は
ゆっくりと盛り上がったのに

00:28:33.130 --> 00:28:38.340
イラク反戦は開戦前にピークに達し
後は消えてしまった

00:28:38.350 --> 00:28:45.530
米国でも同じ頃
大規模な大衆運動がありました

00:28:45.540 --> 00:28:51.890
2006年米国の移民が
空前の抗議デモを展開しました

00:28:51.900 --> 00:28:58.880
移民取締り法の強化への抗議です

00:28:58.890 --> 00:29:03.980
しかしそれもまた短時間で
消えてしまった

00:29:03.990 --> 00:29:07.090
何かに引き継がれた形跡もない

00:29:07.100 --> 00:29:15.510
強力な革命的組織を求める
声が弱くなっていることが

00:29:15.520 --> 00:29:18.630
運動が続かない一因でしょうか

00:29:18.640 --> 00:29:24.270
蓄積した力を革新運動に
注ぎ込む組織がないことが？

00:29:24.280 --> 00:29:30.080
それも要因ですね
革命的かはさておき

00:29:30.090 --> 00:29:36.180
運動を次の段階に導く
政治組織がないのです

00:29:36.190 --> 00:29:38.850
中南米は例外です

00:29:38.860 --> 00:29:44.190
巨大な社会運動が次々と
生まれています

00:29:44.200 --> 00:29:51.520
ベネズエラ ボリビア エクアドル
続いてパラグアイと

00:29:51.530 --> 00:29:55.070
民衆運動の勝利が続いています

00:29:55.080 --> 00:29:58.400
中南米は希望の持てる
貴重な地域です

00:29:58.410 --> 00:30:02.220
しかし他の地域では
せっかくの運動も続きません

00:30:02.230 --> 00:30:09.870
一つの見方は　欧米の政治が
異常な発展をしたからです

00:30:09.880 --> 00:30:15.580
大統領選のオバマ候補の
聴衆の数を見てください

00:30:15.590 --> 00:30:20.910
オバマ候補は若者層を
かつてないほど活性化した

00:30:20.920 --> 00:30:25.540
「でも彼は民主党だから」
なんて言うのは愚かです

00:30:25.550 --> 00:30:27.560
だからどうした

00:30:27.570 --> 00:30:33.420
大切なのは若者の関心が
再び政治に向いたことです

00:30:33.430 --> 00:30:37.640
オバマ氏が勝っても
それが続くかどうかは不明ですが

00:30:37.650 --> 00:30:39.785
面白い現象です

00:30:39.785 --> 00:30:50.820
若者は民主党の政策に
惹かれているのか それとも社会を変える可能性に
惹かれているのか？

00:30:50.830 --> 00:30:54.510
大統領選において
これは大きな違いでしょう

00:30:54.520 --> 00:31:00.090
オバマ陣営の強さは
彼が変化をもたらすと

00:31:00.100 --> 00:31:03.550
大衆が期待していることです

00:31:03.560 --> 00:31:10.120
黒人の大統領が誕生すれば
歴史の転換点になるでしょう

00:31:10.130 --> 00:31:15.820
しかし他の争点に関しては
まだ不透明です

00:31:15.830 --> 00:31:19.720
オバマ当選の暁には
ぜひ皆で就任式に行き

00:31:19.730 --> 00:31:23.620
「即時イラク撤退！」と
横断幕を掲げてほしい

00:31:23.630 --> 00:31:26.020
反戦運動を再燃させるのです

00:31:26.030 --> 00:31:30.190
オバマはイラク反戦を
選挙に利用したのですから

00:31:30.200 --> 00:31:35.120
この流れを積極的に
使わない手はありません

00:31:35.130 --> 00:31:42.800
欧州や英国では　何を
米国大統領選に期待しますか？

00:31:42.857 --> 00:31:44.625
国によりますね

00:31:44.625 --> 00:31:50.122
たとえばイタリアでは
右派政権が誕生しました

00:31:50.122 --> 00:31:57.060
人種差別的な政府なので
オバマが大統領では気まずいでしょう

00:31:57.070 --> 00:32:04.673
イタリア人の６８％は
ジプシーを国外追放したいのです

00:32:04.673 --> 00:32:11.980
ジプシーもナチスの被害者なことを
忘れている

00:32:11.990 --> 00:32:19.370
米国が黒人を大統領に選べば
イタリアの右翼は当惑します

00:32:19.380 --> 00:32:24.300
「我々が追放したい連中と
同じ素性ではないか」と

00:32:24.310 --> 00:32:29.458
英国は問題ない
誰が大統領でも米国に従います

00:32:29.458 --> 00:32:34.094
英国は労働党も 保守党も
揺るがぬ米国支持です

00:32:34.094 --> 00:32:38.880
オバマで政策が変わっても
文句も言わず追従する

00:32:38.890 --> 00:32:44.070
しかし欧州のほうは
大統領選に気をもんでいる

00:32:44.080 --> 00:32:46.270
たとえばドイツには

00:32:46.280 --> 00:32:51.210
イラク侵攻に憤慨する政治家がいます

00:32:51.220 --> 00:32:55.720
アフガニスタン占領も
失敗と見て

00:32:55.730 --> 00:33:01.840
イラク撤退を実行する政権を
望んでいるのです

00:33:01.850 --> 00:33:06.770
占領の重荷から
欧米を解放してほしいと

00:33:06.780 --> 00:33:10.880
そうなって欲しいものですけどね

00:33:10.890 --> 00:33:16.210
ありがとうございました

00:33:16.220 --> 00:33:22.625
タリク･アリ氏は政治活動家
小説家 歴史家です

00:33:22.625 --> 00:33:31.071
ＮＹのバルーク舞台芸術センターで
明日の夜 講演する予定です

00:33:31.071 --> 00:33:37.130
表題は『新帝国主義
古い問題と新しい挑戦』

