盗人政治? イバンカとジャレッドのホワイトハウスでのお仕事

2017/4/20(Thu)
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「お前はクビだ」と、リアリティー番組さながらに次々と更迭されるトランプ政権の幹部たち。フリンが去り、プリーバスが去り、ついにバノンも去りました。その中で不動の地位を保っているのがホワイトハウスに執務室を持つ娘のイバンカと婿のジャレッド・クシュナーです。身内への絶大な信頼を置くトランプ大統領は、縁故採用を禁ずる法律の縛りをすり抜けて親族を重用し、まるでホワイトハウスを家族経営しているような感覚です。当初こそ公私混同への批判が上がりましたが、より緊急な他の大問題が次々と持ち上がる中で、この問題は次第に忘れ去られているようです。娘夫婦はホワイトハウスで、どんな仕事をしているのでしょう?

各国首脳とのトップ会談で、いつもちゃっかり一緒に写真に納まるイバンカ。メディアの注目を浴びることは彼女の所有する服飾ブランド「イバンカトランプ」の無料宣伝に等しく、イバンカの名前が出るたびにブランドの売上が伸びていきます。才女、美人、大金持ちとセレブイメージは満点ですが、政治はまったくのシロウト。ホワイトハウスでの彼女の仕事は「服を着ていることだけ」と、ビッキー・ワード記者は断言します。

婿のジャレッドは大統領選挙の勝利に大きく貢献し、政権発足の準備段階から人事に大きな影響力を発揮してきました。しかし、彼とて政治の世界に経験があるわけではなく、親から引き継いだ不動産ビジネスの経営が経歴のすべてです。そんな人物が中東和平交渉を任せられているのも残念なことですが、トランプ大統領の外交窓口としての仕事ぶりには、不動産を中心とする一族の家業の便宜をひそかに図っている疑惑が付きまとっています。日本や中国の首脳をトランプの別荘に招待してイバンカブランドを売り込んだことなど、これに比べればかわいいものかも。

ホワイトハウスの権力を利用した盛大な私欲の追求が繰り広げられているようです。ワード記者が「ホワイトハウスの商業化」と呼ぶ、このような公私混同の側近政治は、いつまで続きうるのでしょうか。(中野真紀子)

ビッキー・ワード(Vicky Ward): ニューヨークタイムズ紙の選ぶベストセラー作家。『エスクァイア』誌、『ハフィントンポスト・ハイライン』誌などに寄稿する調査報道記者

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字幕翻訳:デモクラシー防衛同盟
千野菜保子・仲山さくら・水谷香恵・山下仁美・山田奈津美・岩川明子
全体監修:中野真紀子