CIAの拷問 ドイツで刑事告発へ ブッシュ政権の高官たちを訴追できるか?

2014/12/19(Fri)
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米上院情報特別委員会は2014年12月、CIAがブッシュ政権下で行っていた「拘禁尋問プログラム」に関する報告書を公表しました。CIAによって秘密収容所に拘禁された119名のうち39名が、水責め、睡眠剥奪、ストレス・ポジションなどの拷問を受けていたことが詳細に記されています。これを受けて米国の「憲法上の権利センター」は、ベルリンの「欧州憲法人権センター」と協力し、ラムズフェルド元国防長官、ジョージ・テネット元CIA長官などブッシュ政権の政府高官をドイツで刑事告発しました。

2002年、当時の司法省法律顧問ジェイ・バイビーとジョン・ユーは、CIAの尋問手法は合法だとする覚書(いわゆる拷問メモ)を書いています。2009年、J.バイビー、ジョン・ユー、アルベルト・ゴンザレス元司法長官など「ブッシュの6人」を刑事告発したのはスペインの裁判所でした。捜査を担当したのはチリの独裁者アウグスト・ピノチェトの逮捕を実現させたガルソン判事です。スペイン司法長官の反対を押し切って開始された捜査でしたが、その後、ガルソン判事は職を解かれ、捜査は頓挫しています。

「憲法上の権利センター」は、米国での訴追が成功しない原因としてオバマ大統領の消極的な姿勢を挙げています。オバマ大統領はグアンタナモ基地の閉鎖を公約に掲げましたが、それも実現していません。奇しくも、グアンタナモ基地に10年近く投獄されていた元囚人のGuantánamo Diary(『グアンタナモ日記』)がベストセラーになっています。(桜井)

*Michael Ratner (マイケル・ラトナー):「憲法上の権利センター」会長で欧州憲法・人権センター代表も務める。著書はThe Trial of Donald Rumsfeld: A Prosecution by Book (『ラムズフェルド裁判 本によるシミュレーション』)

*Martin Garbus(マーティン・ガーバス): 弁護士。タイム誌で「全米で最も優秀な法廷弁護士」に選ばれた。

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翻訳:齋藤雅子 / 校正:桜井まり子 / 全体監修:中野真紀子