元FCC委員マイケル・コップスが語る米国メディアの未来

2012/1/12(Thu)
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ブッシュ政権からオバマ政権にかけて約10年間、連邦通信委員会(FCC)委員を務めたマイケル・コップスが、この10年で大きく変化した米国のメディア環境について語ります。

米国では1996年の通信法で、国民すべてにブロードバンド環境を行き渡らせることが目標に掲げられました。2001年ごろまでは順調に普及していたようですが、ブッシュ政権下で普及は世界から大きく遅れることとなります。ブッシュ政権がAT&Tなど大企業を優遇し、ブロードバンド化を市場競争に任せたためです。広大な国土を持つ米国では、光ファイバーの敷設などインフラの整備に莫大な費用がかかります。投資の見通しがつかない地域事業者は高速インターネットへの投資を抑制する結果になりました。マイケル・コップスは、ブロードバンドサービスは橋や道路と同じく国家的事業として扱うべきであり、市場競争にゆだねたブッシュ政権の通信政策は間違いだったと指摘します。

有権者は、情報を知る機会を平等に与えられなくてはなりません。そのためにも国民すべてにブロードバンドアクセスが保障されることが必要です。同時に大資本によるメディアの独占を禁じるメディア所有規制や、インターネット上のコンテンツ差別を規制するネットの中立性原則が守られなければ、ブロードバンドが全国民に行きとどいても片手落ちです。その意味でもFCCはメディアの将来を左右する重要な役割を担っています。マイケル・コップスはFCC委員として、米国のメディアと民主主義をどのように考え、ブロードバンド普及計画やメディア所有規制に対処してきたのでしょうか。(桜井まり子)

マイケル・コップス(Michael Copps):10年を超える任期を終え、先頃米連邦通信委員(FCC)を退官した。FCC委員としては歴代7番目にあたる長期在任となる。

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字幕翻訳・サイト構成:桜井まり子/全体監修:中野真紀子