殺人と汚職をめぐるムバラク裁判に沸くエジプト

2011/8/4(Thu)
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民衆革命から半年、エジプトでは長期にわたる独裁政権を敷いてきたムバラク元大統領の公判が開かれました。カイロ郊外の警察学校に置かれた法廷に、入院先から担架で運びこまれた元大統領は、二人の息子とともに、在職中の汚職や革命中の市民虐殺などの罪状で裁かれます。初公判が開かれた8月3日には大勢の群集が敷地を取り囲み、スクリーンに映し出される法廷の様子を固唾を呑んで見守りました。「今後何が起ころうと、今日はエジプト革命の決定的な瞬間です」と、昨年来カイロに居を移した元デモクラシー・ナウ!のプロデューサー、シャリフ・アブデュル=クドゥースは言います。
実際、民主化への道のりはいまだ険しいもののようです。革命後のエジプトは軍が実権を握り続け、民政への移行が進まず民衆デモが再燃した時期もありました。ようやく2012年5月末に大統領選挙が実施される運びになりましたが、旧体制の実力者が名乗りをあげて大きな反発を受けるなど、緒戦から波乱ぶくみです。一方、政治動乱による経済不振は深刻で、外貨準備が底をつき食料確保のためにも早晩、IMFなどの借款にたよることになりそうです。(中野真紀子)

*シャリフ・アブデュル=クドゥース(Sharif Abdel Kouddous) カイロ在住の元デモクラシー・ナウ!プロデューサー

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字幕翻訳:玉川千絵子/全体監修:中野真紀子/ウェブ作成:丸山紀一朗