フアン・コール:チュニジア暴動は労働運動とネット活動家が率いる大衆革命

2011/1/18(Tue)
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チュニジアは紀元前カルタゴと呼ばれ、地中海貿易で栄えました。16世紀にオスマン帝国の属州となった後、19世紀にはフランスの保護領となり、1956年にフランスから独立しました。独立後ブルギバ大統領の政権が30年間続き、1987年以降、ベン・アリ大統領の独裁が続いていました。そのベン・アリ大統領の長期政権を崩壊させたのはクーデターではなく民衆のデモでした。

ミシガン大学歴史学教授のフアン・コールは、チュニジア革命を1979年のイラン革命と比較し、「チュニジアで先頭に立っているのは労組やネット活動家です。世俗的な大衆蜂起です。米国の主要メディアはチュニジアを無視しました。しかし優れた情報がツィッターやフェイスブックで得られました」と言います。米国のメディアがチュニジア蜂起を無視した理由として「これは労働運動であり、米国の商業メディアは労働運動には神経質なのです」と言います。

しかし商業メディアで流れなかった情報を求めて、アルジャジーラのウェブサイトには米国からアクセスが殺到し、一時は6割を占めました。チュニジア・エジプトに続くように米国でも、ウィスコンシン州やミシガン州で労働者の権利を求める住民が州議会を占拠し、抗議が続けられています。

エジプト・チュニジアの蜂起の背景となった国民の困窮には、自由貿易・市場経済の導入があったことも指摘されています。チュニジアは1995年にEUと自由貿易協定を調印、積極的に民営化を押し進めてきました。GDPは伸びても経済格差は広がる一方で、食糧価格の高騰、リーマンショック以降の世界金融危機が重なり、チュニジアの失業率は2008年以降上昇を続け、2011年は14%に達すると見られています。「誰もがベン・アリやムバラクは悪漢だ、と叫ぶ。悪漢には違いないが、彼らの背後でほくそ笑むグローバル資本こそが、独裁者を飼い馴らしていたことに注目しなければならないのではなかろうか。」と明治大学の福田邦夫教授は指摘しています。(桜井)

*フアン・コール(Juan Cole) ミシガン大学の歴史学教授。中東に関するブログ"Informed Comment"はこちら→http://www.juancole.com/。 Engaging the Muslim World(『ムスリム世界とかかわる』)などの著書がある。

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字幕翻訳:田中泉/校正:桜井まり子/全体監修:中野真紀子・丸山紀一朗