ガザに向かう支援船団をイスラエル海軍が公海で襲撃

2010/6/1(Tue)
Video No.: 
2
25分

2010年5月31日の未明、救援物資を積んで封鎖中のガザに向かう6隻の民間国際支援船団フリーダム・フロッティラをイスラエル海軍が公海上で襲撃し、乗客10人以上が死亡し、数十人が負傷するという事件が起きました。船団には世界40カ国から集まった約700人もの活動家が参加し、国会議員や官僚経験者も乗船していました。特に激しい攻撃を受けたのは600人の活動家を乗せたトルコ船籍のマビマルマラ号で、死者はすべてトルコ人でした。

3年間も続いているイスラエルによる過酷な封鎖を終わらせるため、海から封鎖を突破しようとするガザ支援船の試みは、2008年の夏に始まりました(「ガザ支援船がキプロスを出航」)。これを企画したガザ解放(Free Gaza)運動には,パレスチナで非暴力抵抗運動を推進する国際連帯運動(ISM)をはじめ、さまざまな人道団体、イスラム、ユダヤ、キリスト教の宗教組織などが参加し、イスラエルの妨害をうけながら何度かの航海を企ててきましたが、2009年6月にはイスラエル軍によって攻撃されメンバーがイスラエルに拉致拘禁される事件が起きました。

今回の試みは、トルコの人道団体IHH(人道支援基金)と連携して欧州を中心に各地から集まった複数の船が船団を組む大規模なものとなりました。これに対しイスラエル政府がとった措置は、公海を航海中の非武装の船団に海軍が攻撃を加えるという明確な国際法違反の犯罪行為でした。これにより国際的非難は高まりましたが、オバマ大統領の態度は弱腰です。ガザに支援物資を届けるという非暴力の人道主義活動までもテロリズムと同一視するイスラエルの主張を、米国はいつものように肯定するのです。

イスラエル軍は船団を拿捕し、同国のアシュドッド港へと曳航しました。数百人の活動家がイスラエルの拘留施設に収容され、約50人 は国外退去させられました。国連安全保障理事会は攻撃を非難し、イスラエルによって拘束された船団と民間人の即時解放と公正な調査を要求しました。米国を除く全ての常任理事国が、ガザ地区の封鎖の解除をはっきりと要求しました。

しかしオバマ大統領の対応は弱腰です。ガザに人道支援物資を送り届ける行為をテロリズムと同一視するイスラエルの主張を、米国はいつものように間接的に肯定しています。情報を一手に握るイスラエルは、一方的な説明のみ繰り返しています。事件直後の情報が混乱する中で、この出来事にかかわりの深い人々から緊急に話を聞きました。(中野)

*アダム・シャピロ(Adam Shapiro) 国際連帯運動の共同創設者でガザ解放運動の運営委員

*アリー・アブニマー(Ali Abunimah) パレスチナ系米国人ジャーナリスト、政治評論家。エレクトリック・インティファーダの設立者の一人。著書はOne Country: A Bold Proposal to End the Israeli-Palestinian Impasse(『一国家解決 イスラエル=パレスチナ紛争の行き詰まりを打開する大胆な提案』)

*リチャード・フォーク(Richard Falk) パレスチナ占領地の人権問題に関する国連特別報告官

*アミラ・ハス(Amira Hass) イスラエルのハアレツ紙のコラムニスト。イスラエル人記者で唯一、ガザや西岸地区に住み占領される側から占領の実態を報道してきた。

Credits: 

翻訳字幕:中野真紀子