アフガニスタンにはオバマが主張する軍事解決などない

2009/2/10(Tue)
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オバマ大政権はアフガニスタンを最優先課題に挙げ、パキスタン北東部国境地帯を爆撃していますが、これはパキスタン国内の政情をさらに不安定化させ、ひいては南アジア地域全体の緊張を高めることになりかねません。

オバマ大統領は就任直後から、アフガニスタンとパキスタンにまたがるアルカイダの「隠れ家」を取り除くことの重要性を強調し、アフガニスタンへの増派の方針を打ち出していました。しかし国連人権調査官としてアフガニスタンに赴任した経験のある、デポール大学法学部教授シェリフ・バッショーニ氏は、アフガニスタンにはオバマ大統領が主張するような軍事解決などありえないと言います。

経済発展による解決は、5年前ならありえたかもしれません。2004年にアフガニスタン・イスラム国の新憲法が発布され、初の大統領に選出されたハーミド・カルザイは、ずっと米国の指令に忠実にしたがってきましたが、平和は実現したものの経済発展はほとんどありませんでした。その結果、この5年間でアフガニスタン政府は求心力を失い、その支配は首都カブールに限定され、他の地域は群雄割拠の状態です。

せっかく開かれた国家形成の機会を見逃してしまった米国の失敗は、どこに原因があったのでしょう?2005年まで現地に赴任していたバッショーニ氏の話を聞きます。

シェリフ・バッショーニ(Cherif Bassiouni)

デポール大学の法学部教授、国際人権法研究所の名誉所長。国連人権調査官としてアフガニスタンに赴任した経験がある。2005年、米国の人権侵害を非難する報告書を出したため、内部からの批判を受け国連を去った。

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字幕翻訳:田中泉/校正:桜井まり子
全体監修:中野真紀子・付天斉